ラビット・モランビル

ウォルター・ジェームズ・ヴィンセント・モランビル（Walter James Vincent "Rabbit" Maranville, 1891年11月11日 - 1954年1月5日）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州出身のプロ野球選手です。1910年代から1930年代にかけて、メジャーリーグで遊撃手として活躍しました。右投げ右打ちで、そのプレースタイルと愛嬌のあるキャラクターから「ラビット」というニックネームで親しまれました。

選手としての特徴

モランビルは、1912年にボストン・ブレーブスでメジャーデビューを果たしました。小柄ながらも広い守備範囲を誇り、特に遊撃手としての高い能力で注目を集めました。1914年から1917年までの4年間、遊撃手としての刺殺数はリーグ最多を記録し、その守備範囲の広さを証明しました。また、耳が大きいことや、素早い動きから「ラビット」の愛称が定着しました。

1921年にはピッツバーグ・パイレーツに移籍。1923年には遊撃手として刺殺数、補殺数、併殺数、守備率でリーグトップを記録しました。さらに1924年には二塁手として補殺数、併殺数、守備率でリーグトップと、複数のポジションで高い守備力を発揮しました。特に1924年のシーズンでは、109個ものダブルプレーを成功させました。

「道化師」としての側面

モランビルは、その野球の実力だけでなく、球界きっての「道化師」としても知られていました。1925年にはシカゴ・カブスの監督兼任選手を務めましたが、その際も悪ふざけが止まることはありませんでした。移動中の寝台車で選手たちの顔に氷水をかけるなどの逸話が残っています。また、ブルックリン・ロビンズ在籍時には、本拠地前で「モランビルが解雇された！」と叫ぶ新聞配達の真似をするなど、ユーモアあふれる行動でファンを魅了しました。しかし、その翌日、実際に解雇されてしまうというオチもついています。

現役引退後

1927年にセントルイス・カージナルスに移籍、1928年にはワールドシリーズに出場。その後、ボストン・ブレーブスに復帰し、1935年に現役を引退しました。23年にも及ぶ現役生活は、当時ナショナルリーグ最長記録でした。また、1931年には全米選抜チームの一員として来日し、40歳にして軽快なプレーや股の間から送球するパフォーマンスを披露しました。

1954年1月5日にニューヨークで亡くなりましたが、同年にアメリカ野球殿堂入りを果たしました。殿堂入りには記者投票で18年を要し、これは記者選出としては最長記録です。

詳細情報

ワールドシリーズ出場: 2回 (1914年, 1928年)
遊撃手最高守備率: 2回 (1916年, 1923年)
二塁手最高守備率: 2回 (1924年, 1932年)
遊撃手通算刺殺数: 5139 (歴代1位)
* 監督としての戦績: シカゴ・カブス (1925年) 23勝30敗 勝率.434、リーグ最高順位：7位

エピソード

通算28本塁打のうち、22本はランニングホームランでした。これは、当時のボストン・ブレーブスの本拠地ブレーブス・フィールドが非常に広かったことが理由です。後に球場が改修され、本塁打が出やすくなった一方で、モランビルはチームを去ることとなりました。

モランビルは、その高い守備能力と愛すべきキャラクターで、多くのファンに愛された名選手でした。

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