ラビナス

花王「ラビナス」：時代を彩ったヘアケアブランドの軌跡

「ラビナス (LAVENUS)」は、花王がかつて販売していたヘアケア製品のブランドです。1996年2月に誕生し、2005年9月に終売となるまでの約9年半、様々な製品を展開しました。現在、日本国内での販売は終了していますが、海外の一部地域では販売が継続されています。

ブランドコンセプトと時代背景

ラビナスは、花王として初めてヘアケアの複数カテゴリーを横断的に展開したブランドでした。シャンプー/コンディショナー、トリートメント、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー、ヘアブラシなど、幅広い製品を取り揃え、トータルでのヘアケアを提案しました。

1990年代後半は、P&Gや日本リーバといった外資系メーカーが台頭してきた時代です。ラビナスは、これらの競合を意識し、ファッション性を重視した広告展開や、当時のトレンドを取り入れた製品開発を行うなど、花王にとって新たな試みが数多く見られました。アジエンスが発売される2003年までは、花王のヘアケア製品におけるフラッグシップブランドという位置づけでした。

製品展開と沿革

ラビナスの製品は、ヘアケア、ヘアスタイリング、ヘアカラーの3つのカテゴリーに大別できます。

ヘアケア

シャンプーとコンディショナーは、当初「クレンジングシャンプー/ナリシングコンディショナー」として発売され、「コットンフィール」「シルキーフィール」「ピュアクレンジング」「シルキーサプライ」「デザイニング」と、時代に合わせてリニューアルを繰り返しました。特に、1999年に登場した「コットンフィール」と「シルキーフィール」は、髪質や悩みに合わせて選べる2つのラインとして人気を集めました。

トリートメントは、「エクス・ケア」の後継として「ヘアコントロール」が発売され、その後「トリートメント」「デザイニングトリートメント」へと進化しました。洗い流さないタイプの「トリートメントエッセンス」は、ブランド初期から終売まで販売され続けたロングセラー商品です。

ヘアスタイリング

ヘアスタイリング剤は、「ヘアラインメイクシリーズ」と「デザイニングシリーズ」の2つのラインで展開されました。「ヘアラインメイクシリーズ」は、ストレート、カール、ニュアンス、ウェーブといったヘアスタイル別に製品が分かれており、それぞれのスタイルに合わせたスタイリングを提案しました。

「デザイニングシリーズ」は、ワックスやスプレーなど、より遊び心のあるスタイリングを楽しめる製品が揃っていました。1999年に発売された「デザイニングスプレー」や「デザイニングワックス」は、ワックスの質感をスプレーで手軽に再現できる新感覚のスタイリング剤として話題を呼びました。

ヘアカラー

ヘアカラーは、1997年に発売された「ピュアカラー」が最初の製品でした。その後、「ピュアカラーNeo」「ラビナスヘアカラー」と進化し、トレンドに合わせたカラーバリエーションを展開しました。2001年からは、10代向けの「カラーアピールシリーズ」が登場し、渋谷や原宿といった街のイメージを表現したカラーが人気を集めました。

イメージキャラクターとCM音楽

ラビナスは、数多くの人気タレントやアーティストをイメージキャラクターに起用し、話題性の高いCMを展開しました。英姫、園原ゆかり、小西真奈美、浅野麻由子などが歴代のイメージキャラクターを務め、Do As InfinityはCMソングも担当しました。

CMソングには、TRF、相川七瀬、AREA3、Do As Infinityなど、当時の人気アーティストの楽曲が多数起用されました。これらの楽曲は、ラビナスのブランドイメージを印象付けるとともに、CM自体も話題となるなど、相乗効果を生み出しました。

ブランド終息とその後

2003年に上位ライン「ラビナスアドバンスシリーズ」を発売するなど、新たな展開も試みましたが、2005年9月、ラビナスブランドは終息を迎えました。ヘアケア製品はアジエンスやエッセンシャルに、スタイリング剤はリーゼサプライシリーズに統合されました。

ラビナスは、約9年半という短い期間ではありましたが、時代のトレンドを反映した製品開発や、話題性の高い広告展開など、花王のヘアケアブランドにおける新たな可能性を切り開いた存在として、記憶されています。