ラファエル・アスコナ

ラファエル・アスコナ：スペインが生んだ巨匠脚本家

ラファエル・アスコナ (1926年10月24日 - 2008年3月23日) は、スペインを代表する脚本家で、国際的な活躍で知られています。本名はラファエル・アスコナ・フェルナンデス。日本では、スペイン以外の作品を通じて「ラファエル・アズコーナ」と紹介されることもありました。

1926年、スペインのラ・リオハ県ログローニョに生まれたアスコナは、初期のキャリアを雑誌『ラ・コドルニス』のライターとしてスタートさせました。その後、小説を映画化することになり、1959年、マルコ・フェレーリ監督作品『小さなアパート』で脚本家デビュー。この出会いが、彼のキャリアに大きな転機をもたらします。

フェレーリ監督作品への参加は、アスコナの名を世界に知らしめるきっかけとなりました。『女王蜂』のようなイタリア式コメディの代表作や、『反対の性』など、多くの作品で才能を発揮。フェレーリとの長期にわたる協働は、アスコナが脚本家として確固たる地位を築く上で、極めて重要な役割を果たしました。

アスコナの才能は、フェレーリ作品にとどまりませんでした。様々な監督との仕事を通して、その脚本の技量は高く評価され、数々の賞を受賞しています。1982年にはスペイン映画国民賞を受賞。1988年には、ホセ・ルイス・クエルダ監督の『にぎやかな森』でゴヤ賞脚本賞を受賞、同作品は作品賞と主演男優賞も受賞する快挙を達成しました。また、ルイス・ガルシア・ベルランガ監督の『イスラム教徒とキリスト教徒』でも同賞にノミネートされています。

その後も受賞は続き、1991年にはカルロス・サウラ監督の『歌姫カルメーラ』でゴヤ賞脚色賞、1993年にはフェルナンド・トルエバ監督の『ベルエポック』でゴヤ賞脚本賞、1994年にはホセ・ルイス・ガルシア・サンチェス監督の『暴君バンデラス』でゴヤ賞脚色賞を受賞しました。1998年には、スペイン映画界における功績を称えられ、名誉ゴヤ賞を受賞。2000年には、クエルダ監督との再タッグとなった『蝶の舌』でゴヤ賞脚色賞を受賞するなど、受賞歴は華々しいものとなりました。

アスコナは、多様な監督とのコラボレーションを通して、常に新しい挑戦を続けました。イタリア式コメディから、スペイン独自の感性を活かした作品まで、その脚本は時代や国境を超えて高く評価され、スペイン映画界に多大な影響を与えました。彼の脚本は、緻密な構成とユーモアのセンス、そして深い人間ドラマが特徴です。

2008年3月23日、マドリードで肺がんのため死去。彼の遺骨は、故郷ラ・リオハ州のカンタブリア山に散骨されました。没後もその功績は称えられ続け、2009年にはクエルダ監督の『盲目のひまわり』でゴヤ賞脚色賞を受賞しました。

アスコナは数多くの映画作品に携わりましたが、そのフィルモグラフィは、彼の幅広い才能と、映画製作に対する情熱を如実に物語っています。彼は単なる脚本家ではなく、時代を超えて愛される作品を生み出した、真の映画芸術家だったと言えるでしょう。彼の残した作品は、今後も多くの観客を魅了し続けることでしょう。

もう一度検索