ラファエル・オスナ

ラファエル・オスナ：メキシコが生んだ悲劇のテニス界の英雄

ラファエル・オスナ・エレーラ（Rafael Osuna Herrera、1938年9月15日 - 1969年6月4日）は、メキシコシティ出身の男子テニス選手です。彼はメキシコ最大のテニス選手として知られ、1963年の全米選手権男子シングルスで優勝を果たしましたが、そのテニスキャリアの絶頂期に飛行機事故で亡くなるという悲劇に見舞われました。

デビスカップでの活躍

オスナは1958年からデビスカップのメキシコ代表選手として活躍し、彼の時代にメキシコチームはかつてないほどの強さを誇りました。デビュー戦となった1958年のデビスカップ「ヨーロッパ・ゾーン」2回戦では、フィンランドチームに5-0で快勝。しかし、準々決勝ではポーランドに2-3で惜敗しました。1960年には、南カリフォルニア大学時代からの親友であるデニス・ラルストンとのペアで、ウィンブルドン選手権男子ダブルスで初優勝を飾りました。

1962年、メキシコはデビスカップで初の「ワールドグループ」決勝に進出しましたが、決勝でオーストラリアに0-5で敗れ、初優勝はなりませんでした。当時のオーストラリア代表には、年間グランドスラムを達成したロッド・レーバーもおり、オスナはレーバーに敗北を喫しました。

全米選手権とウィンブルドンでの輝き

1961年から1963年までの3年間、オスナは同僚のアントニオ・パラフォックスとのペアで全米選手権男子ダブルス決勝に進出し、デニス・ラルストンとチャック・マッキンリーのペアと対戦しました。1962年にはオスナとパラフォックスのペアが優勝しましたが、1961年と1963年はラルストンとマッキンリーのペアに敗れています。1963年にはウィンブルドン選手権男子ダブルスで優勝し、オスナにとって2度目のウィンブルドン・ダブルス優勝となりました。

そして、1963年の全米選手権男子シングルス決勝で、ラファエル・オスナはフランク・フローリング3世をストレートで破り、初優勝を飾りました。これはメキシコ出身のテニス選手として初の4大大会シングルス優勝という快挙でした。しかし、パラフォックスと組んだ男子ダブルス決勝では、ラルストンとマッキンリーのペアに惜敗しました。

デビスカップでの勝利と突然の死

その後、デビスカップでメキシコチームはアメリカ・ゾーンの決勝でアメリカの壁に阻まれ続けました。オスナ自身も4大大会でオーストラリア勢を破ることができず、好成績は減りました。しかし、1969年5月には、デビスカップのアメリカン・ゾーン決勝でオーストラリアを迎え、シングルス2試合とダブルスで勝利を収め、3-2でオーストラリアを破りました。最終第5試合では、ビル・ボウリーとの激戦を制し、生涯で最も壮絶な試合の一つを繰り広げました。

しかし、その直後の6月4日、オスナが搭乗したメキシカーナ航空704便が墜落し、乗客79名全員が死亡するという悲劇に見舞われました。こうして、メキシコ最大の男子テニス選手であったラファエル・オスナは、わずか30歳という若さでその生涯を終えました。

殿堂入りと記憶

事故死から10年後の1979年、ラファエル・オスナは国際テニス殿堂入りを果たし、その功績は永遠に称えられています。彼のテニスに対する情熱と才能は、メキシコのテニス界に大きな影響を与え、今もなお多くの人々に記憶されています。


4大大会優勝

全米選手権　男子シングルス：1勝（1963年）／男子ダブルス：1勝（1962年）　［男子ダブルス準優勝2度：1961年・1963年］
ウィンブルドン選手権　男子ダブルス：2勝（1960年・1963年）

もう一度検索