ラフ・アンド・レディ

ジェフ・ベック・グループの『ラフ・アンド・レディ』は、1971年に発表されたアルバムです。この作品は、ジェフ・ベックが交通事故による活動休止期間を経て、新たなメンバーを迎え再始動した第二期ジェフ・ベック・グループによるものです。

制作の背景

前作発表後、1969年11月にジェフ・ベックは交通事故に遭い、3ヶ月間の入院生活を送りました。その間、ティム・ボガート、カーマイン・アピスらとの新バンド構想は実現せず、彼らはカクタスを結成することになります。退院後、ベックは再びメンバー探しを行い、1年以上後の1971年5月にようやくメンバーが確定しました。そして、ロンドンのアイランド・スタジオでニュー・アルバムのレコーディングを開始しました。

音楽的特徴

本作の特徴は、ブラック・ミュージックからの多大な影響が感じられる点です。ボブ・テンチ、クライヴ・チャーマンといった黒人アーティストをメンバーに加えたことからも、ベックのブラック・ミュージックに対する強いこだわりが窺えます。ファンクやソウルの要素を取り入れた楽曲は、それまでのベックの音楽性とは異なる新たな魅力を放っています。

楽曲について

アルバムには、以下の楽曲が収録されています。

1. ガット・ザ・フィーリング - I Got The Feeling (J. Beck) 4:46
2. シチュエイション - Situation (J. Beck) 5:26
3. ショート・ビジネス - Short Business (J. Beck) 2:34
4. マックス・チューン - Max's Tune (Raynes Park Blues) (M. Middleton) 8:24
5. アイヴ・ビーン・ユーズド - I've Been Used (J. Beck) 3:40
6. ニュー・ウェイズ／トレイン・トレイン - New Ways / Train Train (J. Beck) 5:52
7. ジョディ - Jody (J. Beck-B. Short) 6:06

これらの楽曲は、ベックのギタープレイはもちろんのこと、各メンバーの個性が際立った演奏が楽しめます。特に、コージー・パウエルのドラムは、楽曲に力強い推進力を与えています。

参加メンバー

ジェフ・ベック: ギター、ベース、プロデュース
マックス・ミドルトン: ピアノ、キーボード
コージー・パウエル: ドラムス
クライヴ・チャーマン: ベース
* ボブ・テンチ: ヴォーカル、ギター

4チャンネル・ステレオ盤と海賊盤

1970年代のレコードには4チャンネル・ステレオ盤が存在し、本作も4チャンネル盤がリリースされました。4チャンネル盤は、通常のステレオ盤とはミックスが異なり、中にはテイクが異なる曲も存在しています。また、2005年には本作セッションのマスターテープをそのまま収録した『Rough And Ready Reel Masters』という海賊盤がリリースされ、セッションの全容が明らかになりました。

『ラフ・アンド・レディ』は、ジェフ・ベックの音楽的な変遷を知る上で重要な作品であり、彼の幅広い音楽性を堪能できる一枚です。

もう一度検索