ラブ・レター (小説)

浅田次郎『ラブ・レター』

『ラブ・レター』は、浅田次郎による感動的な短編小説で、『鉄道員（ぽっぽや）』に収録されています。1996年に発表されて以来、その心に響く物語は多くの人々に愛され、映画、テレビドラマ、舞台と様々な形で映像化・舞台化されてきました。

映画（1998年）

1998年には森崎東監督によって映画化されました。主演は中井貴一が務め、ヒロインの康白蘭役には耿忠が起用されました。松竹が製作し、同じく浅田次郎の『鉄道員』の映画化権を東映に先取りされたため、急遽この作品を映画化したというエピソードがあります。

キャスト

高野吾郎：中井貴一
康白蘭：耿忠
中山サトシ：山本太郎
佐竹義則：根津甚八
穴吹樟雄：大地康雄
醍醐ミサオ：倍賞美津子
伊藤常夫：柄本明

スタッフ

監督：森崎東
原作：浅田次郎
脚本：中島丈博、森崎東
音楽：松村禎三
撮影：浜田毅

テレビドラマ（2003年）

2003年にはテレビ東京系列でスペシャルドラマとして放送されました。西田敏行が主演を務め、虚偽のセクハラ疑惑で会社をリストラされた男が、偽装結婚した妻の死を通して人生を見つめ直す姿を描いています。千葉県千倉町や北海道美瑛町でのロケが行われ、文化庁芸術祭参加作品、第21回ATP賞優秀賞を受賞しました。

あらすじ

大手企業をリストラされた高野吾郎（西田敏行）は、歌舞伎町のゲームセンターで働いています。ある日、彼は妻・高野白蘭の死亡通知書を受け取ります。白蘭は、1年前に偽装結婚した顔も知らない中国人売春婦でした。戸籍を売った暴力団員の佐竹に相談した吾郎は、白蘭の残した手紙を渡されます。吾郎は佐竹の部下であるサトシと共に、妻の遺体を引き取りに房総・千倉へ向かいます。そこで彼は、外国人売春婦の死が軽んじられる現実を目の当たりにし、様々な感情が胸に去来します。

キャスト

高野吾郎：西田敏行
高野白蘭：ペース・ウー
佐竹：柄本明
サトシ：金子賢
原田竜太郎：いかりや長介

スタッフ

脚本：金子成人
監督：石橋冠
制作：テレパック、テレビ東京

舞台化

2004年に新藤兼人の脚本・演出で舞台化され、2006年には再演も行われました。吉本多香美、金子昇らが出演し、その後も様々な劇団で上演されています。2013年には音楽座ミュージカルによってミュージカル化もされました。

ラジオドラマ

1997年には文化放送でラジオドラマ化されました。下條アトム、菅野美穂らが出演し、平成10年日本民間放送連盟賞番組部門（ラジオ娯楽）優秀賞を受賞しています。

『ラブ・レター』は、小説、映画、テレビドラマ、舞台、ラジオドラマと様々な形で表現され、それぞれのメディアで異なる魅力を持っています。原作の持つ感動的な物語を、それぞれの作品を通して体験してみてはいかがでしょうか。

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