ラリベラ

ラリベラ：岩窟教会群が織りなす聖都

ラリベラは、エチオピアのアムハラ州に位置する都市で、ユネスコ世界遺産に登録されている「ラリベラの岩窟教会群」で世界的に知られています。人口は約2万7千人（2015年時点）。ここは、何世紀にもわたる巡礼地であり、エチオピア正教徒にとってアクスムに次ぐ重要な聖地とされています。

歴史的背景：第二のエルサレム

ラリベラの歴史は、12世紀後半から13世紀初頭にザグウェ朝を統治した聖王ゲブレ・メスケル・ラリベラに深く関連しています。当時、エルサレムがイスラム勢力によって占領されたことを受け、ラリベラ王は、ザグウェ朝の首都ロハを「新たなエルサレム」として再建することを決意しました。その結果、街の地名や教会の配置は、エルサレムを模したものとなり、街を流れる川はヨルダン川と名付けられました。

ラリベラの名の由来

ラリベラ王が生まれた際、彼の体に蜂が群がったという逸話が残っています。人々はこの現象を吉兆と捉え、「蜂に選ばれた者」という意味を持つ「ラリベラ」という名を与えました。現在の都市名ラリベラは、この王にちなんで名付けられたものです。

岩窟教会群：信仰の結晶

ラリベラの岩窟教会群は、一枚岩を掘り下げて造られたという点で、他に類を見ない建築物です。これらの教会は、聖書の物語やエルサレムの景観を象徴的に表現しており、キリスト教信仰の深さを物語っています。教会群の中でも最も有名なのは、聖ギオルギス教会でしょう。十字架の形をしたこの教会は、その美しい景観で訪れる人々を魅了しています。

ヨーロッパ人との出会い

ラリベラに最初に足を踏み入れたヨーロッパ人は、ポルトガルの探検家ペロ・ダ・コヴィリャンでした。その後、フランシスコ・アルヴァレス司祭がこの地を訪れ、その壮大さに感銘を受けましたが、同時に、その威容が当時のヨーロッパ人に信じてもらえるかどうか懸念したと著書に記しています。

ティグレ紛争の影響

近年、エチオピア政府軍とティグレ人民解放戦線（TPLF）との間で紛争が発生し、ラリベラもその影響を受けました。一時TPLFの支配下に入ったものの、後に政府軍が奪還するなど、激しい戦闘が繰り広げられました。紛争は、ラリベラの文化遺産や住民の生活に深刻な影響を与えています。

現代のラリベラ

現在、ラリベラには空港、市場、学校、病院などの施設があり、地域の中核都市としての役割を担っています。しかし、紛争の影響からの復興や、観光客の増加に伴う課題など、多くの問題を抱えています。ラリベラがその歴史的・文化的価値を守りながら、持続可能な発展を遂げられるかどうかが、今後の課題となっています。

ラリベラは、その独特な景観と深い歴史を持つ、他に類を見ない都市です。岩窟教会群は、信仰の力と人間の創造性の象徴として、これからも世界中の人々を魅了し続けるでしょう。

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