ラリー・グラハム

ラリー・グラハム（Larry Graham、1946年8月14日 - ）は、アメリカ合衆国テキサス州生まれ、カリフォルニア州育ちのミュージシャンです。彼は、ベースの革新的な奏法であるスラップ奏法（日本ではチョッパーベースとも呼ばれる）の創始者として広く知られています。その卓越した技術と音楽性は、多くのベーシストに影響を与え、音楽史に名を刻みました。

幼少期から音楽に親しみ、ピアノやダンスを学びました。15歳の頃には母親と共にバンドを結成し、音楽活動を開始します。ベースを手で叩く独特の奏法は、グラハム自身が「Thumping & Plucking」と呼ぶこともありますが、一般的にはスラップ奏法として知られています。

グラハムの名声を確立したのは、1967年に加入したスライ&ザ・ファミリー・ストーンでの活動です。バンドは1960年代後半に数々のヒット曲を連発し、グラハムのスラップ奏法は、ドラムスのグレッグ・エリコとのコンビネーションによって完成され、世間に広く知られるようになりました。彼のファンキーなベースラインは、バンドのサウンドを特徴づける重要な要素となりました。

1971年にスライ&ザ・ファミリー・ストーンを脱退後、1973年に自身のバンド、グラハム・セントラル・ステーションを結成し、独自の音楽性を追求しました。1980年にバンドを解散してからは、ベーシストとしての活動に加えて、ボーカリストとしての側面を強く打ち出すようになります。彼の洗練されたポップなソウル・ヴォーカルは、ジェフリー・オズボーンやアル・ウィルソン、ピーボ・ブライソンといったアーティストを彷彿とさせます。「One in a Million You」はビルボードR&Bチャートで1位を獲得し、「ジャスト・ビー・マイ・レイディ」もヒットしました。

1992年には、ファミリー・ストーンのメンバーを招集してグラハム・セントラル・ステーションを再結成し、再びファンク・ミュージックの世界に戻ってきました。また、プリンスとの親交も深く、ツアーに参加するなど、音楽的な交流を深めました。アメリカの自宅がプリンスの自宅の隣同士だったというエピソードも残っています。

2010年代には、日本の楽器メーカーMOONのジャズベースタイプの楽器を使用しています。彼の使用するモデルは、ワイヤレスシステムとマイクロフォン用のトランスミッターが特別に装備されているのが特徴です。このベースを演奏しながら、彼は洗練されたポップ・ソウル的なヴォーカルを披露しています。4弦モデルと5弦モデルが存在し、それぞれ限定で発売されました。

東京ビルボードなどで来日公演も複数回行い、日本のファンを魅了しています。ローリング・ストーン誌が選んだ「史上最高のベーシスト50選」では第7位に選ばれるなど、その音楽的な功績は高く評価されています。

ディスコグラフィ

アルバム
バラードの世界 - One in a Million You (1980)
ジャスト・ビー・マイ・レディ - Just Be My Lady (1981)
スナー・オア・レイター - Sooner or Later (1982)
ヴィクトリー - Victory (1983)
ファイアード・アップ - Fired Up (1985)

シングル
One in a Million You (1980)
When We Get Married (1981)
Guess Who (1981)
Just Be My Lady (1981)
Sooner or Later (1982)
Don't Stop When You're Hot (1982)
I Never Forget Your Eyes (1983)

ゲスト参加
ENDLICHERI☆ENDLICHERI - 『Neo Africa Rainbow Ax』 M01「ENDLICHERI☆ENDLICHERI 2」(2007)

関連項目
ブーツィ・コリンズ

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