ラルフ・アール

ラルフ・アールの生涯と作品

ラルフ・アール（Ralph Earl、1751年5月11日 - 1801年8月16日）は、アメリカの植民地時代を代表する肖像画家として知られています。彼は180点以上の肖像画と数点の風景画を制作しました。アールの作品は、その時代の人々の姿を生き生きと描写しており、彼の影響力は現在も評価されています。

幼少期と教育

アールは、マサチューセッツ州のシュルーズベリーまたはレスターに生まれました。多くの当時のアメリカのアーティストと同様、彼は独学で絵画を学びました。1774年にはコネティカット州のニューヘイブンで肖像画家としてのキャリアをスタートさせましたが、同年に故郷のレスターに戻り、いとこと結婚し、子供をもうけました。その後、再びニューヘイブンで自身のキャリアを築いていきます。

アメリカ独立戦争と亡命

アールはアメリカ独立戦争の際、父親が植民地軍の将校であったにも関わらずロイヤリストの側に立ちました。彼は版画家のエイモス・ドゥリトルと共に、レキシントン・コンコードの戦いに関するロイヤリスト向けの宣伝版画を手掛けました。1778年、アールは家族を置いてイギリスに亡命し、イギリス将校の従者に変装して渡航しました。

ロンドンでは、アメリカ出身の著名な画家ベンジャミン・ウエストの工房で働き、国王や多くの貴族の肖像画を描きました。その後、イングランド東部のノリッジで肖像画家として活動を続けました。この時期、アールはアメリカに残した妻子とは別れ、イギリス人女性と再婚しました。1785年から1786年には再びアメリカに戻ります。

輝かしい肖像画家としての活動

アメリカに帰国後、アールは神学者のティモシー・ドワイトや、政治家のケイレブ・ストロング、ロジャー・シャーマンなどの著名人の肖像画を描きました。また、彼が描いた「ナイアガラの滝」は特に有名な作品の一つです。

尽力にもかかわらず、アールは1786年に借金を抱え、ついには刑務所に収監されています。驚くべきことに、彼は刑務所にいる間も面会者や友人、そして債務困窮者救済教会の人々の肖像画を描くという創作活動を続けました。彼の作品は、様々な人々の生活や苦悩を反映しています。

晩年と死

ラルフ・アールは1801年にコネティカット州ボルトンで亡くなりました。彼の死因としては、飲酒の習慣が影響していたとされます。彼は2度目の妻との間に息子をもうけ、この息子はラルフ・エリーザー・ホワイトサイド・アールとして知られ、画家としても活躍しました。息子は後にアンドリュー・ジャクソン大統領とも親しくなり、多くの肖像画を残しました。

ラルフ・アールの作品は、アメリカの芸術史において重要な位置を占めており、彼の作品を通じて当時の社会や文化を感じ取ることができます。

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