ノリッジ

ノリッジ（Norwich）

ノリッジはイングランドの東部、ノーフォーク州の州都として知られています。古英語では「北の町」という意味を持つこの都市は、複数の表記があり、ノリッチやノーリッチとも称されることがあります。ノリッジの歴史は古く、8世紀にはすでに遠方との交易が行われていたことが示されています。また、10世紀前半には貨幣の鋳造も始まり、その際に鋳造された硬貨には「Norvic」という名前が刻まれていました。

歴史的背景

ノリッジは長い間、盛んな商業活動の中心地として発展を遂げました。ウェンサム川の水運を活用した交易が行われ、ノルマン・コンクエストの時代には、イングランド有数の都市として位置付けられました。ドゥームズデイ・ブックには、約25の教会と5千人から1万人の人口が記録されています。また、ノルマン人の支配下に入った際にはサクソン人の居住地や市場がノリッジ城の西側に移され、そこには現在も賑わいを見せる露店があります。

1096年にはノリッジ大聖堂が建設され、精神的かつ文化的な中心としての役割を果たしてきました。中世には、羊毛取引から得た富を利用して多くの教会が建設され、今日でも多くの中世の教会が残っています。取引はスカンジナビアからスペインにまで広がっていました。

16世紀から17世紀には、フランスのユグノーやベルギーのワロン人など、多くの移民がノリッジに訪れました。彼らは地元に溶け込んでいき、共に商業活動を行いながらヨーロッパとのつながりを深める役割を果たしました。このようにして、ノリッジは16世紀にはロンドンに次ぐイングランドの大都市となり、産業革命期にはブリストルとともにその地位を維持しました。

交通インフラの発展

ノリッジは地理的に孤立しているため、ロンドンよりもアムステルダムへのアクセスが早いという特異な立地条件を有していましたが、1845年に鉄道が開通したことで、これらの交通の壁が取り払われました。20世紀初頭には靴や衣類、工具などの製造業が経済を支える重要な柱となり、ボールトンポール社による航空機産業も注目を集めました。かつてはチョコレート製造も行われていたという歴史もあります。

経済の変化

ノリッジには11世紀に開設された歴史ある野外市場があります。この市場はイングランドでも屈指の規模を誇りますが、最近は規模の縮小が見られ、新たなショッピングモールやセンターが開発され、全体的な小売業の風景が変わってきています。製造業が盛んだった時代から、1980年代以降はサービス業の比重が高まってきており、地域経済の構造が変わりつつあります。特に、コールマン（Colman's）の本拠地としても知られ、ここで製造されるマスタードは世界中に輸出されています。

スポーツと文化

地元のサッカーチーム、ノリッジ・シティFCも地域の人気が高く、住民のスポーツコミュニティを象徴しています。ノリッジはまた、文化的にも多様性に富んだ都市であり、多くの著名な出身者を抱えています。

姉妹都市

ノリッジは海外の多くの都市とも結びついており、姉妹都市にはセルビアのノヴィ・サドやフランスのルーアン、ドイツのコブレンツ、ニカラグアのエル・ビエホなどがあります。これにより、国際的な交流が活発となっています。

ノリッジは歴史的な魅力と文化、経済の変遷を経て、現在でも多くの人々に愛される街となっています。

もう一度検索