ランガムプレイス

ランガムプレイス：香港の活気あふれる複合施設

ランガムプレイスは、香港の九龍地区、旺角（Mong Kok）に位置する複合施設です。ショッピングモール、オフィス、ホテル、映画館などが集まり、地域の一大ランドマークとなっています。この施設は、単なる商業施設にとどまらず、旺角地区の再開発プロジェクトの中核を担い、都市景観の変革にも貢献しました。

開発の背景

旺角は、香港でも有数の繁華街として発展してきましたが、その一方で、密集した建物や老朽化した構造物が多く、防災上の課題も抱えていました。また、歓楽街としての側面もあり、若年層が集まる一方で、風紀や治安に対する懸念も存在しました。そこで、香港特別行政区政府の重建局は、彌敦道（Nathan Road）西側のエリアを再開発することを決定しました。この再開発事業は、香港の総合不動産業者である鷹君集團（Great Eagle Holdings）がデベロッパーとして指名されました。

施設の構成

ランガムプレイスは、複数の施設で構成されています。

ショッピングモール：15階建ての建物には100を超えるテナントが入居しています。ガラス張りのアトリウム、5階分の高さがあるエスカレーター「通天電梯-エックスプレスカレーター」、螺旋階段状のモール構成など、ユニークな設計が特徴です。アメリカ人建築家ジョン・ジャーディが設計を手掛け、テラコッタ素材の使用や、日本の商業施設との類似点が見られます。低層階には飲食店や日本でお馴染みの店舗もあり、若年層をターゲットにしたキャッチーな印象の服飾店も多く見られます。
ランガムプレイスホテル：ランガムホテルズ・インターナショナルが経営する五つ星の高級ホテルです。ショッピングモールと共にオープンし、高さ170mの超高層ビルとして存在感を放っています。ホテル内には、中国を中心とした現代美術作品が多数展示され、モダンで高級な雰囲気が特徴です。ホテル棟とショッピングモールは、空中回廊で結ばれています。
オフィスタワー：地上59階建て、高さ255.1mの超高層ビルです。旺角周辺では最も高い建物であり、丸みを帯びた外観とハーフミラーガラスが特徴です。最上部にはドーム型の装飾があり、夜間には虹色のイルミネーションが点灯します。かつての啓徳空港の高さ制限により、九龍地区には高層ビルが少なかったため、ランガムプレイスのオフィスタワーは香港島からも目立つ存在です。
映画館：UA朗豪坊というシネマコンプレックスで、香港UAグループが運営しています。ランガムプレイスの他にも香港各地にシネマコンプレックス施設を展開しています。

オープン時の広告

ランガムプレイスのオープン時には、大々的なプロモーション活動が展開されました。テレビ、新聞、ラジオなどのメディアに加え、地下鉄（香港MTR）やダブルデッカーバスのラッピング広告も行われました。このプロモーションで登場したキャラクター「ナディア」は、日本のアニメや漫画を連想させる美少女フィギュアのようなCG画像が使用され、香港で賛否両論を呼びました。この広告は、香港の映像クリエイターであるメン・チョン（張敏：Man Chung）によって製作され、香港數碼娯樂傑出大獎（Hong Kong Digital Entertainment Excellence Awards）を受賞しています。

周辺施設と交通

ランガムプレイス周辺には、香港MTRの旺角駅と東鉄線の旺角東駅があり、交通アクセスに非常に便利です。また、彌敦道（Nathan Road）や西洋菜街（Sai Yeung Choi St）、花園街（Fa Yuen St）など、有名なストリートも近くにあります。

ランガムプレイスは、香港の活気と多様性を象徴する複合施設として、地元住民だけでなく、多くの観光客にも親しまれています。その斬新なデザインと、豊富な商業施設は、旺角地区の新たな魅力を創出しています。

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