ランキスト数

ランキスト数：プラズマの伝導度と磁気リコネクションを測る指標

ランキスト数（Lundquist number）は、プラズマ物理学において重要な役割を果たす無次元数です。この数は、プラズマ内のアルヴェーン波の伝播速度と磁束の拡散速度の比を表し、プラズマの伝導度や磁気リコネクション現象の理解に役立ちます。様々な文献では、ランドクヴィスト数、ルントクヴィスト数、ルンキスト数などとも表記されます。

ランキスト数の定義

ランキスト数は、以下の式で定義されます。

S = LvA/η

ここで、

S：ランキスト数
L：系の代表的な長さスケール（プラズマのサイズなど）
vA：アルヴェーン速度（プラズマ中を磁力線が伝わる速度）
η：磁束拡散係数（磁力線が拡散する速度を表す係数）

この式は、アルヴェーン波の伝播時間と磁束の拡散時間の比を表しています。アルヴェーン波はプラズマ中の磁力線の振動として伝播する波であり、その速度はアルヴェーン速度で表されます。一方、磁束拡散は磁力線がプラズマ中を拡散する現象であり、その速度は磁束拡散係数で表されます。ランキスト数は、これらの時間スケールの比として定義されているため、プラズマの伝導度を反映しています。

ランキスト数の物理的意味

ランキスト数の値が大きいほど、アルヴェーン波の伝播速度が磁束の拡散速度に比べて速いことを意味します。これは、プラズマの伝導度が高いことを示しています。逆に、ランキスト数の値が小さいほど、磁束の拡散速度がアルヴェーン波の伝播速度に比べて速いことを意味し、プラズマの伝導度が低いことを示しています。

ランキスト数の数値範囲

ランキスト数の値は、実験室規模のプラズマではおよそ10²～10⁸の範囲に、一方、天体物理学的なプラズマでは10²⁰を超えるような非常に大きな値をとることがあります。この大きな違いは、実験室プラズマと天体プラズマの規模と条件の違いを反映しています。

磁気リコネクションとの関連

ランキスト数は、磁気リコネクションという現象の理解においても重要な役割を果たします。磁気リコネクションは、プラズマ中の磁力線が再結合する現象であり、太陽フレアや磁気嵐などの宇宙空間における様々な現象を引き起こします。ランキスト数は、磁気リコネクションの起こりやすさを決定する重要なパラメーターであり、ランキスト数が小さいほど、磁気リコネクションが起こりやすくなります。

まとめ

ランキスト数は、プラズマの伝導度と磁気リコネクション現象を理解するための重要な指標です。その値は、プラズマの種類やスケールによって大きく異なり、実験室規模から宇宙空間規模までの様々なプラズマ現象の研究において活用されています。ランキスト数の概念を理解することで、プラズマ物理学における様々な現象のメカニズムをより深く理解することができます。

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