ランズバンキ銀行

ランズバンキ銀行の概略と歴史

アイスランドにおけるランズバンキ銀行（Landsbankinn）は、その設立から現在に至るまで国の金融システムに重要な役割を果たしてきた銀行です。1885年に設立され、翌年から業務を開始したこの銀行は、アイスランド国会の後押しにより、国の産業育成を目指して活動をスタートしました。その重要性は、1927年にアイスランド最大の銀行として通貨の発行権や政策の権限を得ることにより更に高まりましたが、1961年にはその部分がアイスランド中央銀行に移譲されました。

1986年に始まる金融の自由化に伴い、ランズバンキ銀行は事業の範囲を拡大し、1998年から2003年にかけて民営化されました。この結果、同銀行はアイスランド国内のみならず、外国、特にイギリスなどのヨーロッパ各国でも預金業務を活発に展開しました。しかし、2008年の全球的な金融危機が発生すると、同銀行もその影響を受け、10月7日に経営破綻に至り、国有化されました。

この国有化により、ランズバンキ銀行が持つインターネットバンクのアイスセーブでは、30万人の英国民が計40億ポンドの預金をしていましたが、同時にその口座は凍結されることとなりました。この対応に対して、当時の英国首相ゴードン・ブラウンは「アイスランド政府は国民を裏切った」との発言をし、翌日には反テロ法を根拠にしてアイスランド系銀行の資産を凍結する措置をとりました。

アイスランド政府は国外からの資金調達を模索し、特にロシアとの関係を深めようとしました。このような状況に直面し、アイスランドの首相ゲイル・ホルデは、「英国が我々をテロリスト扱いすることは不愉快だ」と述べ、強い反発を示しました。一方で、歌手ビョークは「これではテロリスト扱いされても仕方がない」と冷静に指摘しました。この事態の背後には、実際にはサブプライム住宅ローンの危機が大きく影響していたことも忘れてはなりません。

その後、金融危機を引き起こした責任を問われたのは、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドなどの大手金融機関で、最終的には裁判所がその違法性を認め、2014年には元最高責任者のシグルヨン・アルナソンに懲役1年の実刑判決が下されました。彼の逮捕は法的な根拠があるわけではありませんでしたが、経済を崩壊させた結果に対する感情的な責任追及の一環と見られています。

このように、ランズバンキ銀行の歴史はアイスランドの経済と政治の変遷を反映しており、その破綻と国有化の経緯は、国際金融の文脈においても一つの重要な事例とされています。

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