ランチア

ランチア (Lancia Automobiles S.p.A.)

概要

ランチアは1906年に設立されたイタリアの自動車メーカーで、主にトリノを本拠地としています。1969年からフィアットの傘下となり、2021年にはステランティス N.V.の一部となりました。ランチアは、フィアットが支配するイタリアの自動車市場において、ニッチ市場のスポーツカーや高級車をターゲットとして成長しました。特に、革新的な技術を取り入れた高性能車として名を馳せており、いくつかの初の技術を量産車に採用したことで知られています。

ランチアの歴史

ヴィンチェンツォ・ランチアの時代

設立者はヴィンチェンツォ・ランチアで、彼は裕福な家庭に育ち、早くから自動車に親しんでいました。フィアットの契約ドライバーとして活動した後、1906年に自身のメーカーを設立。1922年に販売された「ラムダ」は、先進的なモノコック構造やV型エンジンを採用しており、国際的な評価を得るきっかけとなりました。彼の遺作である「アプリリア」は、1937年に登場し、その美しい流線形デザインと技術的革新から高く評価されました。

ジャンニ・ランチアの時代

ヴィンチェンツォが亡くなると、その息子ジャンニが経営を引き継ぎます。戦後、彼はエンジニアのヴィットリオ・ヤーノを招き、1951年に世界初のV型6気筒エンジンを搭載した「アウレリア」を発表。これにより、ランチアはGT車両の先駆者となりました。しかし、1955年には経営不振が原因で倒産に至ります。

カルロ・ペゼンティの時代

その後、建設業成功者であるカルロ・ペゼンティがランチアの経営権を取得し、新たな設計者を起用して「フラミニア」や「フラヴィア」などのモデルを展開しましたが、経営は再び厳しくなり、1969年にフィアットに売却されました。

フィアット傘下での展開

フィアット傘下に入ってからは、主に高級車部門としてモデルの生産を行いました。特に「デルタ」は1980年に「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、1990年代まで長い販売歴を誇りました。

クライスラーとの統合

2009年、フィアットはクライスラーグループを傘下に持ち、ヨーロッパでのディーラー網を統合しました。この結果、多くの国においてランチアブランドが復活し、いくつかのモデルが市場に戻りました。

現在の状況

2014年にはランチアブランドはイタリア国内専売となり、以降はイプシロンのみが市場に残りました。しかし、2020年代に入ると、急速に電動化を進め、2030年には全モデルがBEV化される計画が発表されました。2022年には新しいデザイン言語が発表され、2024年には新型イプシロンがデビュー予定です。

モータースポーツにおける地位

ランチアは、モータースポーツにおいても豊かな歴史を持ち、特にラリー競技では数々のタイトルを獲得しました。1952年には専属チーム「スクーデリア・ランチア」を設立し、独自の競技車両で数多くの勝利を収めています。特に1970年代から90年代にかけては、WRCでの成功を収め、その名声を確立しました。

日本における販売

日本市場への進出は、1950年代から1960年代にかけて複数のモデルが輸入されましたが、その後の市販台数は伸びず、1990年代以降は正規輸入が途絶えました。2020年代にはクライスラーとの統合により、若干のモデルが発表されましたが、販売は限られています。

まとめ

歴史あるランチアは、イタリアの自動車産業において重要な役割を果たしてきました。高品質な車両に加え、革新的な技術やモータースポーツでの成功により、今後のブランド復活が期待されます。

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