ランドサット6号

ランドサット6号

ランドサット6号（英語: Landsat 6）は、アメリカ合衆国によって開発された地球観測衛星であり、地球の地表を継続的に観測するランドサット計画の一環を担うべく設計されました。これまでのランドサット衛星シリーズで培われた技術を基に、観測機器の性能をさらに向上させることを目指した重要なミッションとして位置づけられていました。

開発の目的と搭載機器

ランドサット計画は、地球の植生、水資源、土地利用、地質など、広範囲にわたる地表の変化を長期にわたって監視することを目的としています。ランドサット6号は、この計画の継続性を確保するとともに、より詳細で高精度な地球観測データを提供するための新しい技術を導入する予定でした。特に、搭載される観測機器には大幅な改良が加えられていました。

先行機のランドサット5号まで標準的に搭載されていたマルチスペクトラルスキャナ（MSS）は、この6号では搭載が見送られました。代わりとして開発されたのが、「向上型セマチック・マッパ（ETM: Enhanced Thematic Mapper）」と呼ばれる新型センサーです。このETMは、ランドサット4号および5号に搭載されていたセマチック・マッパ（TM）の後継機として設計されており、その性能は大きく向上していました。

ETMの改良点の一つは、従来のTMにはなかったパンクロマティック（全整色性）バンドが追加されたことです。これにより、モノクローム（白黒）画像ながら、地表解像度を従来の30メートル級から15メートル級へと飛躍的に向上させることが可能となりました。高解像度のパンクロマティック画像は、詳細な地形の把握や都市の変化、災害状況の確認など、より多様な分野での利用が期待されていました。また、TMが有していた複数のスペクトルバンドにおける観測能力も維持・向上されており、地表面の多様な情報を詳細に捉えるセンサーとして、次世代の地球観測をリードする役割を担うはずでした。

打ち上げと結果

ランドサット6号は、1993年10月5日に、アメリカ合衆国フロリダ州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から、タイタン23Gロケットによって宇宙への打ち上げが試みられました。しかし、残念ながら、打ち上げは順調に進まず、衛星を所定の軌道に投入することに失敗するという結果に終わりました。

この打ち上げ失敗は、ランドサット計画の継続にとって大きな痛手となりました。特に、既に設計寿命を大幅に超過して運用が続けられていた先行機のランドサット4号およびランドサット5号は、後継機である6号が失われたことにより、計画の中断を防ぐため、さらに長期にわたる運用継続が求められることになりました。ランドサット5号は特に驚異的な耐久性を示し、結果的に2013年まで運用が続けられ、約30年間という異例の長期間、地球観測データを取得し続けました。

ランドサット計画は、この失敗にも関わらず継続が図られ、ランドサット6号の本来の任務を引き継ぐべく、改良された後継機であるランドサット7号が開発されました。ランドサット7号は、1999年に無事打ち上げられ、ランドサット計画のデータ継続性を確保する重要な役割を果たしました。

ランドサット6号の失敗は、宇宙開発におけるリスクを改めて示す事例となりましたが、同時に、既存衛星の粘り強い運用継続や後継機の開発 efforts を通じて、地球観測データの継続性が維持された歴史的な教訓とも言えます。もし成功していれば、その搭載するETMセンサーによる高精度なデータは、当時の地球環境研究や資源管理に新たな可能性をもたらしたと考えられています。

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