ランニン・アウェイ

ランニン・アウェイ (Runnin' Away)

「ランニン・アウェイ」は、アメリカのファンク・ソウルグループ、スライ&ザ・ファミリー・ストーンによって1971年に世に送り出された楽曲です。作詞・作曲はグループの中心人物であるスライ・ストーン自身が手掛けました。

作品発表と背景

この楽曲は、バンドにとって通算9作目となるスタジオアルバム『暴動』（原題：There's a Riot Goin' On）に収録されています。同アルバムは1971年11月1日にリリースされ、それまでの明るくポップなサウンドから一変し、より内省的でヘヴィーな、そして実験的なサウンドを提示した歴史的な作品として評価されています。

アルバムリリース後、「ランニン・アウェイ」はバンドの10枚目のシングルとして、1972年1月18日にカットされました。シングルのB面には「ブレイブ&ストロング」（Brave & Strong）が収められています。

チャートにおける成功

シングルとしてリリースされた「ランニン・アウェイ」は、各国の主要チャートで成功を収めました。1972年3月25日付の米ビルボードの総合シングルチャートであるHot 100では、最高位23位にランクインしました。また、ソウル・チャートでは15位を記録し、グループが持つファンク・ソウル界での影響力を示しました。

海を越えて、イギリスの全英シングルチャートにおいても、本楽曲は17位まで順位を上げています。

再発盤と別バージョン

この楽曲のモノラル・シングル・バージョンは、2007年にリリースされたアルバム『暴動』の再発盤において、ボーナストラックとして追加収録されました。これにより、当時のシングル盤のサウンドをより忠実に再現した形で聴くことが可能になりました。

後世への影響とカバー

「ランニン・アウェイ」は、その独特のグルーヴとメロディにより、後世の多くのミュージシャンに影響を与えています。国内外の様々なアーティストによってカバーされており、その多様性が本楽曲の普遍的な魅力の証と言えるでしょう。

海外では、

ポール・ヘイグ（Paul Haig）が1982年にカバー。
リンディ・レイトン（Lindy Layton）が1996年にカバー。
ジョージ・ハワード（George Howard）が1998年にカバー。

といったアーティストたちが、それぞれの解釈でこの曲を蘇らせています。

日本国内でも、本楽曲は早くから注目され、複数のアーティストがカバーバージョンを発表しています。

音楽プロデューサーの小西康陽氏は、1987年リリースのコンピレーション・アルバム『Les enfants』の中でカバーを披露しています。
yes, mama ok? は、1995年に発表したシングル「コーヒーカップでランデヴーって最高よ」に本楽曲のカバーバージョンを収録しました。
小池玉緒氏は、1996年にリリースされたYENレーベル関連のコンピレーション・アルバム『YEN BOX VOL.2』において、この曲をカバーしています。

これらのカバーワークからも、「ランニン・アウェイ」がジャンルや世代を超えて愛され続ける楽曲であることがうかがえます。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「ランニン・アウェイ」は、アルバム『暴動』の持つ実験精神を体現しつつ、シングルとしても成功を収めた、彼らのキャリアにおける重要な一曲であり、ファンク・ソウル史においてもその名を刻む名曲と言えるでしょう。

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