ランメルスベルク鉱山、歴史都市ゴスラーとオーバーハルツ水利管理システム

ランメルスベルク鉱山、歴史都市ゴスラーとオーバーハルツ水利管理システムは、ドイツに存在するユネスコ世界遺産です。この遺産は、非鉄金属の鉱山、それによって発展した歴史都市、そして採掘や冶金に利用された水利管理システムという、鉱業に関する包括的な産業遺産群を対象としています。

1992年にランメルスベルク鉱山とゴスラーの歴史地区が最初に登録され、2010年にオーバーハルツ水利管理システムが拡大登録されました。

登録経緯

この世界遺産は、1991年 10月1日にランメルスベルク鉱山とゴスラーの街並みのみを対象として推薦されました。推薦時の名称は「ランメルスベルク鉱山とそれに付随するゴスラーの歴史的市街中心部」でした。国際記念物遺跡会議 (ICOMOS) はこれに対し「登録」を勧告し、1992年の第16回世界遺産委員会で正式に登録が認められました。

その後、緩衝地域の拡張に関する軽微な変更が申請され、ICOMOSはこれを妥当なものとして適用を勧告し、2008年7月の第32回世界遺産委員会で承認されました。

2008年 1月22日には、「オーバーハルツ水利管理システム」の拡大登録が正式推薦されました。ICOMOSは拡大について、世界遺産としての顕著な普遍的価値は認めたものの、管理面の不備などを理由に「情報照会」を勧告しました。しかし、その年の第34回世界遺産委員会では勧告が覆され、逆転での拡大登録が認められました。

構成資産

この世界遺産は、以下の2つの構成資産に分かれています。

ランメルスベルク鉱山と歴史都市ゴスラー (Mines of Rammelsberg and Historic Town of Goslar, ID623bis-001)
オーバーハルツ水利管理システム (Upper Harz Water Management System, ID623ter-002)

ランメルスベルク鉱山

ランメルスベルク鉱山はゴスラーの南東1kmに位置する鉱山で、紀元前3世紀には採掘が始まっていたとされています。10世紀に発見された豊富な銀の鉱脈は、その後の発展に大きく貢献しました。1988年の閉山まで、約1000年にわたる採掘が行われてきました。

鉱山には、聖ヨハネ聖堂、坑道群、水車、換気坑、労働者住宅群など、採掘に関連する様々な施設が残っています。現在はランメルスベルク博物館として活用されています。

歴史都市ゴスラー

ゴスラーはハルツ山地北側の山麓に位置する都市で、ランメルスベルク鉱山での銀鉱脈の発見後に大きく発展しました。神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世は、ランメルスベルクの銀で銀貨を鋳造させるとともに、ゴスラーに皇帝宮殿を建設しました。この皇帝宮殿は、ドイツのロマネスク様式の宮殿の中では最大規模を誇ります。

帝国自由都市として、政治上も経済上も重要な役割を果たしていたゴスラーは、13世紀にはハンザ同盟に加わり、ランメルスベルクの鉱物資源を主たる交易商品として、さらに繁栄しました。1552年にブラウンシュヴァイク公にランメルスベルク鉱山を奪われた後は経済的に衰退しましたが、それによって16世紀までの古い街並みが良好に保存されることにつながりました。

マルクト広場には、からくり時計付の時計塔、噴水、ゴシック様式の市庁舎、ギルド会館などが面しています。市内には、聖ウルリヒ宮中礼拝堂、マルクト聖堂、ノイヴェルク聖堂などの古いキリスト教建築物も残っています。

オーバーハルツ水利管理システム

ランメルスベルク鉱山などの南部に位置するオーバーハルツ水利管理システムは、約800年間使われてきた水の管理体系です。人工池、ダム、水路、トンネル、排水施設など、数多くの構成要素から成り立っています。シトー会のヴァルケンリート修道院遺跡も構成資産のひとつです。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものであること。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。

もう一度検索