ラヴァー (テイラー・スウィフトのアルバム)

テイラー・スウィフトによる7枚目のスタジオ・アルバム『ラヴァー』（英語: Lover）は、2019年8月23日にリリースされました。

概要

前作『Reputation』からおよそ2年ぶりに届けられた本作は、彼女がリパブリック・レコードへ移籍してから初めて発表したアルバムです。本作の中心にあるのは「愛へのラブレター」というコンセプトであり、愛という感情に伴う様々な浮き沈みを賛美しています。前作のややダークなトーンから離れ、全体的に明るくポジティブなサウンドが追求されています。また、アルバムのアートワークやミュージックビデオは、パステルカラーを基調とし、夏らしい軽やかで開放的な視覚イメージで統一されています。

音楽性

音楽的には、前作で顕著だったエレクトロポップやシンセポップの要素を核としながらも、その幅を広げています。ドリームポップ、バブルガムポップ、インディーポップ、ファンクといった多様なジャンルを取り入れ、彩り豊かなサウンドパレットを作り上げています。さらに、2012年発表のアルバム『Red』以来、約7年ぶりとなるカントリー調の楽曲も1曲収録されており、彼女の音楽的ルーツへの回帰も垣間見えます。

コラボレーション

本作には、著名なアーティストとのコラボレーションもフィーチャーされています。カントリーグループのディクシー・チックス（現：ザ・チックス）や、ロックバンド、パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーがゲスト参加し、アルバムに新たな魅力を加えています。

商業的成功と記録

本作からは複数のシングルがリリースされ、大きな成功を収めました。特に「ME!」、「You Need to Calm Down」、そしてタイトル曲「Lover」の3曲は、アメリカの主要シングルチャートであるBillboard Hot 100でトップ10入りを果たしています。

アルバム自体も商業的に圧倒的な強さを見せました。アメリカのBillboard 200チャートでは、発売初週に86万7,000枚を超えるセールスを記録し、見事首位を獲得しました。世界全体では、初週で300万枚を突破する驚異的な売り上げを記録し、アメリカ本国以外にもアルゼンチン、オーストラリア、カナダ、メキシコ、オランダなど、多数の国でチャートの頂点に立ちました。

年間チャートにおいても、『ラヴァー』は2019年のBillboard年間アルバムチャートで4位にランクイン。これにより、テイラー・スウィフトはデビュー以来リリースしたスタジオ・アルバム全7作を、すべて年間チャートのトップ10に送り込むという快挙を成し遂げました。

さらに特筆すべき記録として、本作の発売週にはアルバムに収録されている全18曲が、同時にBillboard Hot 100チャートにランクインするという偉業を達成しました。これは、一人のアーティストがアルバムリリース週にこれほどの多数の楽曲を同時にチャートインさせるという、極めて珍しい記録です。

また、アルバムからの最初のシングルとなった「ME!」のミュージックビデオは、YouTubeでの公開からわずか24時間で6,520万回再生を記録。これは当時、ソロアーティストおよび女性アーティストによるYouTube公開24時間での最多再生回数記録を更新するものでした。

評価

アルバム『ラヴァー』とその収録曲は、音楽業界の権威ある賞でも高く評価されました。第62回グラミー賞では、主要部門を含む3つの賞にノミネート。特にベスト・ポップ・ヴォーカル・アルバム部門においては、前々作『1989』（2014年）、前作『Reputation』（2017年）に続く、3作連続のノミネートとなりました。

主なシングル

「ME!」 (feat. ブレンドン・ユーリー) - 2019年4月26日リリース / Billboard Hot 100 最高2位
「You Need To Calm Down」 - 2019年6月14日リリース / Billboard Hot 100 最高2位
「Lover」 - 2019年8月16日リリース / Billboard Hot 100 最高10位
「The Man」 - 2020年1月27日リリース / Billboard Hot 100 最高23位

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