ラ・デファンス

ラ・デファンス：パリの近代的な顔

パリ西部郊外に広がるラ・デファンス地区は、フランスの近代建築と都市計画を象徴するエリアです。パリ市内ではなく、クールブヴォア、ピュトー、ナンテールという3つのコミューンにまたがる広大な再開発地区であり、その近代的な景観は、伝統的なパリの街並とは対照的です。

戦後の開発と歴史軸

第二次世界大戦後の経済成長に伴い、急増するオフィス需要に対応するため、1958年にラ・デファンス地区の再開発計画がスタートしました。フランス政府と地方自治体によって設立されたラ・デファンス地区整備公社（E.P.A.D.）が開発を推進し、ルーブル宮殿から凱旋門へと続くパリの歴史軸の延長線上という立地を生かした計画が実行されました。この歴史軸を意識し、軸線上にはあえて建物が建てられず、視覚的な軸線がグランダルシュまで伸びるように設計されている点が特徴です。

超高層ビル群と地下インフラ

ラ・デファンス地区の最大の特徴は、パリ市内では景観保護の規制により実現困難な超高層ビル群の存在です。多くの企業の本社や国際的な組織のオフィスが、この地区に集積しています。また、地上には広大な人工地盤が広がり、歩行者空間を確保。主要な道路や鉄道は地下に整備されており、地上は快適な歩行者空間として活用されています。地区の名称は、19世紀の普仏戦争でパリ防衛の戦闘が行われたことに由来し、その記念碑「ラ・デファンス・ド・パリ」も当地に存在します。

主要施設

ラ・デファンス地区には、グランダルシュを始め、CNIT（国立産業技術センター）、ノベル・タワー、トタル・タワーなど、数多くの高層ビルが立ち並びます。その中には、国際的なニュース機関であるインターナショナル・ニューヨーク・タイムズ（旧インターナショナル・ヘラルド・トリビューン）の本社ビルであるイムーブル・ラヴォワジエも含まれます。

再開発計画と未来

2000年代には、老朽化した超高層ビルの建て替えや、住宅機能の導入による職住近接の推進を目的とした再開発計画「ラ・デファンス2006-2015」が実施されました。T1タワーやグラナイト・タワーといった高層ビルが建設され、アクサ・タワーは増築によりファースト・タワーとして生まれ変わりました。さらに、2010年代には300mを超える超高層ビルの建設も計画されましたが、世界金融危機の影響で多くは計画が中止となりました。しかし、エルミタージュ・プラザやシスターズ・タワーなど、新たな高層建築の建設も進められています。

アクセス

ラ・デファンス地区へは、パリメトロ1号線、RER A線、トラム2号線などが利用可能です。ラ・デファンス＝グランダルシュ駅やエスプラナード・ド・ラ・デファンス駅など複数の駅が設置されており、アクセスは良好です。

まとめ

ラ・デファンス地区は、パリの伝統的な街並とは異なる、近代的な都市開発の成功例と言えるでしょう。超高層ビル群、整備された地下インフラ、そしてパリの歴史軸との繋がりは、この地区の大きな魅力となっています。今後の開発計画にも注目が集まります。

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