ラ・ブレア・タールピット

ラ・ブレア・タールピッツ：太古の記憶を閉じ込めたアスファルトの池

ラ・ブレア・タールピッツは、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスに位置する、天然アスファルトが堆積した池群です。その数は100を超え、ハンコック公園として保護されています。公園内には博物館も併設されており、タールピットから発掘された貴重な動植物の化石が展示されています。1963年には、その特異な地質学的、古生物学的価値が認められ、アメリカ合衆国国定自然地域に登録されました。

タールピットの形成

この地は、1828年に「ランチョ・ラ・ブレア」（スペイン語で「タールの牧場」の意味）の一部となりました。地下のソルトレイク油田から断層を伝って地表に染み出した石油の軽質分が蒸発し、残った重質成分が天然アスファルトを生成します。この過程でメタンガスも放出されています。

タールピットの表面は水で覆われていることが多く、古代の動物たちは水を求めて集まってきました。しかし、誤って足を踏み入れると、粘着性の高いタールに絡め取られ、身動きが取れなくなって溺れてしまいます。こうして、数万年前の動物たちがタールの中に閉じ込められ、化石として現代にその姿を伝えているのです。科学的な年代測定によると、発見された最古の動物化石は約3万8千年前のものとされています。また、約9千年前の女性の人骨も発見されており、当時の人々の生活を知る手がかりとなっています。

化石発見の歴史

ラ・ブレア・タールピッツに関する最初の記録は、1769年のスペイン人探検家によって残されました。彼らは、多数の池からタールと水が噴出している様子を記録しています。タールにまみれた動物の骨も見つかっていましたが、当時は動物の骨が珍しくなかったため、長い間注目されることはありませんでした。

転機が訪れたのは1875年。ランチョの所有者であったHenry Hancockが、剣歯虎の歯をBoston Society of Natural HistoryのWilliam Dentonに寄贈したことがきっかけとなり、この地に古生物の化石が眠っていることが明らかになったのです。Dentonの調査によって、ウマや鳥などの化石も発見され、ラ・ブレア・タールピッツは一躍、古生物学研究の重要な拠点となりました。

ラ・ブレア・タールピッツが語るもの

ラ・ブレア・タールピッツは、単なる化石の採掘場ではありません。そこには、数万年前のロサンゼルスの生態系がそのまま保存されていると言えるでしょう。発掘された化石を分析することで、当時の気候や植生、動物たちの生活を知ることができます。また、絶滅した動物たちがなぜ絶滅したのか、その原因を探る手がかりも得られるかもしれません。

ラ・ブレア・タールピッツは、過去と現在をつなぐ貴重な場所であり、未来への教訓を与えてくれる存在なのです。

関連項目

アスファルト
ダイアウルフ

外部リンク

* TAR PITS HOMEPAGE - 博物館公式サイト

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