ラ・ベンタ

ラ・ベンタ遺跡

ラ・ベンタ（La Venta）は、メキシコのタバスコ州西部に位置し、メキシコ湾岸近くにある先古典期の遺跡です。この場所は古代オルメカ文明の中心的な遺跡のひとつとされており、紀元前900年から紀元前400年頃にかけて栄えました。ただしその後は衰退し、現在は多くの遺物がビヤエルモサのラ・ベンタ野外博物館に移されています。

遺跡の特徴

ラ・ベンタ遺跡は、メキシコ湾から少し内陸に入り、トナラ川の近くの湿地帯の小高い場所に位置しています。かつてはトナラ川の中洲であったと思われます。古代の歴史において、ラ・ベンタは紀元前1200年から紀元前850年頃に発展したサン・ロレンソに代わり、メキシコ湾岸の中心地として栄えました。ここにはオルメカ文明初の都市が営まれました。

遺跡内では68基もの石彫が発見され、その中には巨石の人頭像や動物の彫刻、人物の立像、また「玉座」と呼ばれる祭壇のような大きなテーブル状のものが含まれています。特に注目すべきは、高さ34メートルの建物C-1にある神殿ピラミッドで、建造物はすべて北から8度西に偏った基線に従って配置されています。

研究と再発見の歴史

ラ・ベンタの存在は1925年にフランスの考古学者フランス・ブロムとオリヴァー・ラファージによって初めて発見されました。彼らは、この遺跡の巨石人頭像が他の遺跡に見られるものと類似していることを示しました。続いて、1940年にアメリカの考古学者マシュー・スターリングがスミソニアン協会およびナショナルジオグラフィック協会の後援を受けてラ・ベンタを調査しました。1942年にはスターリングとフィリップ・ドラッカーの協力により本格的な発掘が行われ、その結果、オルメカ文明の文化は主に紀元前1000年頃から紀元前600年頃まで栄えていたことが判明しました。遺跡は紀元前400年には衰退を迎えましたが、その後も1200年頃まで人々が居住していたのです。

野外博物館とその貴重な展示物

1958年にラ・ベンタで石油が発見されたことを受けて、その大部分の遺物がビヤエルモサにあるラ・ベンタ野外博物館に移されました。この博物館には巨大な石彫が50点以上展示され、訪れた人々はオルメカ文明の偉大な技術と芸術を目の当たりにすることができます。さらに、ビヤエルモサには人類学地方博物館もあり、ここでもラ・ベンタに関連する遺物が収蔵されています。

1980年代には新たな発掘プロジェクトが開始され、遺跡博物館も設立されました。この博物館には、移転された遺物のレプリカも展示されているため、観光客はラ・ベンタの歴史に触れる貴重な体験ができます。また、墓Aで発見されたヒスイ製品などはメキシコシティにある国立人類学博物館で展示されています。

最後に

ラ・ベンタは、オルメカ文明の歴史と文化が体感できる独特な場所です。古代の人々が築いたこの遺跡は、今なお私たちに多くの謎を語りかけています。オルメカ文明の遺産を学ぶための貴重なスポットとして、訪れる価値があります。

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