ラーメンたべたい

矢野顕子「ラーメンたべたい」：伝説の誕生と広がり

「ラーメンたべたい」は、シンガーソングライター矢野顕子が1984年8月5日に発表した9枚目のシングルです。徳間ジャパンからリリースされ、その普遍的なテーマと矢野の独特な表現によって、「伝説の歌」とも評されるようになりました。

制作背景：多忙な日々の中のリアルな欲求

1981年に「春咲小紅」がヒットした後、矢野顕子は一男一女の母として、公私ともに多忙な日々を送っていました。幼い子供たちが寝静まった深夜、ようやく自分の時間を持てるようになった矢野は、曲作りに没頭します。そんなある夜、ふと「あ〜､ラーメン食べたい」という言葉が口をついて出ました。この瞬間こそが、「ラーメンたべたい」誕生のきっかけだったのです。

矢野自身も「ラーメンが食べたいときはラーメンじゃなきゃだめ。うどんじゃだめなんです」と語っており、この曲は、まさに彼女の実体験に基づいた、飾らない感情の吐露だったと言えるでしょう。

教科書への掲載：共感を呼ぶ歌詞

1994年には、三省堂の高校用国語教科書『明解 国語 II』に「ラーメンたべたい」の歌詞が採用されました。矢野は、教科書の「感じたことを思いのままに書いてみましょう」というコーナーに掲載されたと述べており、この曲が、ひねりのない素直な思いから生まれたものであることを強調しています。

収録曲

1. ラーメンたべたい
作詞・作曲：矢野顕子、編曲：矢野顕子・坂本龍一
2. HI,HI,HI
作詞・作曲：矢野顕子、編曲：細野晴臣

カバー：世代を超えて愛される名曲

「ラーメンたべたい」は、多くのアーティストによってカバーされています。以下に主な例を挙げます。

奥田民生：2000年のコンサート「Beautiful Songs」で歌唱。アルバム『LIVE Beautiful Songs』に収録。
田中貴（サニーデイ・サービス）：2015年出版のムック本『サニーデイ・サービス 田中貴プロデュース ラーメン本 Ra:』付録CDに収録。
NICO Touches the Walls：2015年のシングル『渦と渦』に収録。
木梨憲武：自身のライブで頻繁にカバーしており、おなじみの曲となっています。

これらのカバーからも、「ラーメンたべたい」が世代を超えて愛され続けていることがわかります。日常の些細な欲求を歌ったこの曲は、聴く人それぞれの心に響き、共感を呼ぶ普遍的な魅力を持っていると言えるでしょう。

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