春咲小紅

「春咲小紅」（はるさきこべに）は、矢野顕子の5枚目のシングルとして1981年2月1日に発売されました。この楽曲は、カネボウ化粧品の1981年春のキャンペーンCMソングに起用され、矢野顕子の5枚目のスタジオアルバム『ただいま。』にも収録されました。

作詞は、コピーライターの糸井重里が担当。「春咲小紅」というタイトルは、カネボウの新製品である口紅を漢字で表現したもので、当時カネボウが北京空港の免税店に初出店したばかりであったことから、中国のイメージを出すために漢字が用いられました。CM曲となった矢野の曲の表題、歌詞にも取り入れられています。

編曲は、ymoymo（イモイモ）が担当。これは、イエロー・マジック・オーケストラのツアー時のメンバーである細野晴臣・坂本龍一・高橋ユキヒロ・松武秀樹・大村憲司・矢野顕子の6人によるこの時だけの表記です。

「春咲小紅」（はるさきこべに）が「春先、神戸に」（はるさきこうべに）と聞こえることから、最初に発表された年に開催された神戸ポートアイランド博覧会（ポートピア'81）と関係のある曲と誤解されていたこともありました。

オリコン週間シングルチャートでは最高位5位を獲得、37.0万枚を超える売上を記録。『ザ・ベストテン』（最高位3位）と『ザ・トップテン』にランキングされました。

カップリング曲は「在広東少年」。このシングルに収録されているバージョンは、アルバム『ごはんができたよ』とは別アレンジで、コンピレーション盤『愛がたりない』にも収録されています。

ジャケットは奥村靫正が手がけました。

「春咲小紅」は、多くのアーティストによってカバーされています。

1996年には、Jeff Bovaらを迎えて新録音されたCDシングルが発売。カップリング曲は「ひとつだけ」「サッちゃん」（共に新録音）。
1996年には、富家哲によるリミックスが施されたマキシシングルCD、12インチLPレコードが発売。
1997年には、yes, mama ok?がアルバム『Q&A 65000』でカバー。
1997年には、モダンチョキチョキズがシングル『ピ ピカソ』に収録。同年公開の矢口史靖監督の映画『ひみつの花園』の主題歌にもなりました。
2004年には、安藤裕子がマキシシングル『水色の調べ』に収録。
2012年には、SEBASTIAN Xがコンピレーション盤『Happy Holidays!〜80's POPS COVERS〜』に収録。
2013年には、ひろしまフラワーフェスティバルで神園さやかがカバー。
2019年には、W（ダブルユー）が配信限定ミニアルバム『ちょい悪デビル』に収録。

「在広東少年」も、様々なバージョンが存在します。

本シングル盤と同じバージョンは、コンピレーション盤『愛がたりない』に収録。
渡辺香津美のアルバム『KYLYN LIVE』（1979年）には、KYLYN BANDの演奏でのライブ録音が収録。
アルバム『ごはんができたよ』（1980年）には、シングルとは異なるバージョンが収録。
イエローマジックオーケストラのアルバム『フェイカー・ホリック』（1991年）、『ワールド・ツアー1980』（1996年）、『ライヴ・アット・武道館1980』（1993年）には、ライブ音源が収録。
矢野顕子のアルバム『Home Girl Journey』（2000年）には、ピアノ弾き語りによるセルフカバーが収録。
アルバム『飛ばしていくよ』（2014年）には、砂原良徳編曲によるバージョンが収録。

「春咲小紅」は、テクノ歌謡の代表的な楽曲として、現在でも多くの人に愛されています。

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