リアル・ブック

『リアルブック』(英：Real Book) は、1970年代までのジャズ、フュージョン、ポップスのスタンダードナンバーを中心に、約400曲のリードシートを収録した書籍です。ミュージシャンにとって必携の書として知られています。

誕生の背景

1971年、ポール・ブレイ、スティーヴ・スワロウ、チック・コリアといった著名なジャズ・ミュージシャンたちが、ジャムセッションや即興演奏の練習のために、自分たちで有名曲を採譜し、ファイルにまとめたのが『Real Book』の始まりです。彼らはこのファイルを練習教材として、バークリー音楽大学や周辺の音楽学校の学生に配布しました。その使いやすさと選曲の良さから、瞬く間に人気が広まり、コピー版が出回るようになりました。

闇ルートでの流通

オリジナル版のコピーは、無許可でアメリカ国内の楽器店や書店、音楽学校などで100ドル前後で闇取引されることもありました。これらのコピーの中には、オリジナルの譜面に別のミュージシャンが修正や加筆を施したものも存在し、さらに複雑な流通経路をたどっていました。

リアルブックに似た書籍は『Fake Book』（フェイクブック）と呼ばれました。

Hal Leonardによる正規版の出版

2004年、音楽書籍出版社のHal Leonardが、この『リアルブック』の存在に着目し、正規版の出版に乗り出します。オリジナル版をより見やすく清書し、掲載されている全楽曲の著作権使用料を支払い、正式な使用許諾を得て『The Real Book 2nd edition』を発売しました。これにより、『リアルブック』は、長年の海賊版の歴史に終止符を打ち、公式な出版物として広く流通するようになりました。

その後も改訂が重ねられ、第6版まで出版されています。また、Hal Leonardは、管楽器などの移調楽器演奏者のために移調版を出版したり、独自の選曲によるフェイクブックシリーズを販売するなど、多様なニーズに応える製品展開を行っています。

現在

リアルブックは、ジャズを学ぶ学生からプロのミュージシャンまで、幅広い層に利用されています。多くのミュージシャンにとって、リアルブックは単なる楽譜集ではなく、ジャズの歴史と伝統を象徴する存在となっています。

The Real Books 公式HP

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