リア・タジリ

リア・タジリの生涯とキャリア

リア・タジリ（Rea Tajiri）は、1958年にイリノイ州シカゴで生まれたアメリカ合衆国の映画監督・映像作家です。彼女は日系人の強制収容をテーマとした作品で広く知られるようになりました。特に、1991年に発表したドキュメンタリー映画『歴史と追憶』（History and Memory: For Akiko and Takashige）は、個人的な歴史を掘り下げた作品として評価されています。

幼少期と教育

タジリの家族は、佐賀藩の士族である田尻氏の末流を持つ日系二世です。彼女の父、ヴィンセントは『プレイボーイ』誌の初代写真編集長で、母親も日系人の背景を持っています。この影響を受けながら育ったタジリは、アートに対する感受性を早くから開花させました。

タジリはカリフォルニア芸術大学（CalArts）に進学し、芸術学士（BFA）と修士（MFA）を取得しました。彼女の学びの場では創造性が発揮され、1979年にはニューヨークに移り、ビデオアートの団体「ザ・キッチン」に参加しました。

映像作品のキャリア

1990年代には、タジリの映像作品が評価されるようになり、ホイットニー・ビエンナーレをはじめとする様々な美術館で展示されました。彼女は国際的な映画祭でも数多くの賞を受賞し、特に「歴史と追憶」は1991年のホイットニー・ビエンナーレで初めて公開され、国際ドキュメンタリー協会から優秀功績賞を受賞しました。この作品は、自身の祖父母が第二次世界大戦中に経験した強制収容の歴史を描くもので、視聴者に深い感動を与えました。

続く1993年には、日系アメリカ人公民権運動家のユリ・コウチヤマに焦点を当てたドキュメンタリー『Yuri Kochiyama: Passion for Justice』を制作しました。これにより、彼女は社会的なテーマを扱う映像作家としての地位を確立しました。

さらに広がる活動

タジリは脚本家としても活躍し、日系カナダ人の作者ケリー・サカモトと共同で、1970年代のシカゴを舞台にした物語『ストロベリー・フィールズ』を発表しました。この作品は多くの支援を受けつつ撮影され、1997年に完成しました。サンフランシスコ国際アジア系アメリカ人映画祭で公開された後、ヴェネツィア国際映画祭でも上映され、グランプリを受賞するなど、国際的にも注目される作品となりました。

現在の活動

タジリは、テンプル大学の准教授としてドキュメンタリー制作について教えています。彼女の教育の場では、次世代の映像作家を育てることに情熱を注いでいます。また、2023年には、認知症を患った母親を16年間介護した経験を基にしたドキュメンタリー『Wisdom Gone Wild』を制作しました。この作品は、個人的な体験を通じて、認知症というテーマを社会に提示する重要な作品として期待されています。

タジリの映像作品は、常に個人的な視点と社会的な視点を交えながら、観る人への深いメッセージを届けています。これからも彼女の作品は、アートと社会における重要な議論を引き起こすことでしょう。

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