リエコ・イングリッシュ

リエコ・イングリッシュ（Lieko English）は、1947年6月3日に日本の沖縄県で生を受け、後にアメリカ合衆国を拠点にアダルトモデルとして活動し、国際的な知名度を得た日系アメリカ人です。本名をレイコ・アラカキ（Leiko Arakaki）といい、特に男性誌『PLAYBOY』の1971年6月号で「プレイメイト・オブ・ザ・マンス」（その月のプレイメイト）に選出されたことで、そのキャリアの頂点を極め、広くその名を知られることとなりました。

彼女の幼少期については、沖縄で育った後、12歳の時に家族と共にアメリカ合衆国への移住を決断し、オクラホマ州オクラホマシティに新たな生活の場を求めたとされています。ただし、別の資料においては、1965年のミス・ユニバース世界大会出場後に単身で渡米したとする記述も見られ、具体的な移住の経緯には複数の情報源が存在するようです。

移住前、あるいは移住の時期と関連して、リエコ・イングリッシュは1965年に故郷である沖縄の代表として、ミス・ユニバース世界大会に出場するという貴重な経験を持っています。この時期、沖縄はまだアメリカ合衆国の占領下にあり、そのため、本土からの日本代表（ミス・ユニバース・ジャパン）とは別に、沖縄独自の代表が選ばれて世界大会に派遣されていました。フロリダ州マイアミビーチで開催された決勝大会は1965年7月24日に行われましたが、残念ながら入賞を果たすことはできませんでした。彼女自身は、大会期間中、関係当局の監視下に置かれて不自由を感じた場面があったと後に語っています。

ミス・ユニバース大会を終え、沖縄に戻った彼女は、ファッションモデルとしての活動を開始します。しかし、当時の沖縄の経済規模やモデル業界の状況を冷静に見極め、長期的に安定したキャリアを築くことには限界があると感じるようになりました。この現実認識が、彼女に再びアメリカ合衆国への移住を決意させる要因となります。移住計画を実行に移した彼女は、まずハワイに滞在し、叔母のもとで一ヶ月ほど過ごしながら、今後の生活の準備を進めました。その後、本土に渡り、ジョージア州アトランタに落ち着くことになります。

アトランタでの新たな生活を始めたリエコは、地元の有名な会員制クラブであるプレイボーイクラブで、象徴的なユニフォームに身を包んだバニーガールとして働き始めます。この仕事は、彼女がエンターテイメント業界や大衆文化の世界に深く関わる最初のステップとなりました。アトランタで経験を積んだ後、彼女はイリノイ州シカゴにあるプレイボーイクラブでもバニーガールとして勤務しました。さらに特筆すべきは、プレイボーイ誌の創刊者であり、その帝国の総帥であったヒュー・ヘフナー氏が所有する自家用ジェット機「DC-9」に搭乗し、「ジェット・バニー」と呼ばれる特別な役割を担う乗り組みスタッフを務めた時期があったことです。これは、彼女がプレイボーイ組織内で、いかに特別な存在となり得たかを示すエピソードと言えるでしょう。

そして、彼女のキャリアにおける最も輝かしい瞬間の一つが訪れます。1971年6月号の『PLAYBOY』誌で、見開きページを飾る「プレイメイト・オブ・ザ・マンス」、すなわちその月の顔となる女性に選出されたのです。この選出は、彼女を一躍有名にし、国際的なアダルトモデルとしての地位を確立させました。また、リエコ・イングリッシュは、プレイボーイ誌の歴史において、女性の陰毛を隠さずに写真に写った最初期のプレイメイトの一人としても特筆されています。これは、当時の社会的なタブーや写真表現における慣習に挑戦する、ある意味で先駆的な試みであり、彼女の存在が単なるモデルに留まらない文化的な意義を持っていたことを示唆しています。

リエコ・イングリッシュのキャリアは、沖縄という出自を持ちながら、アメリカ合衆国という異文化の中で自らの道を切り開き、当時の大衆文化を象徴する存在である『PLAYBOY』誌の顔となることで、日系アメリカ人女性の可能性を広げた軌跡と言えるでしょう。ミス・ユニバース出場から始まり、バニーガール、そしてプレイメイトへと続く彼女の道のりは、多くの困難を乗り越えながらも、自己表現を追求した一人の女性の物語です。

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