リクルート事件

リクルート事件の概要

リクルート事件（リクルートじけん）は、日本の汚職事件で、1988年6月18日に発覚しました。この事件は、リクルートの関連会社である業界未上場の不動産会社「リクルートコスモス」の未公開株が賄賂として政治家や官僚に譲渡されたもので、結果的に政界や官界、さらにはメディアをも揺るがす大規模な不祥事となりました。当時、これは第二次世界大戦後の日本において最大の贈収賄事件とされ、以降の政治風土に大きな影響を及ぼしました。

事件の経緯

贈賄の始まり

事件の発端は、1984年から1986年にかけての未公開株の譲渡にさかのぼります。リクルートの社会長であった江副浩正が、自社の社会的地位を高めるために、有力政治家や官僚に対してリクルート・コスモスの未公開株の譲渡を行ったのです。この数年間に渡って39人の政治家や26の金融機関に未公開株が分配されており、最終的に株の売却益は約6億円に達しました。

事件の発覚

1988年6月18日に、朝日新聞が川崎市助役へのコスモス株の譲渡に関する疑惑を報じ、事件は公に知られることとなります。この報道は、再開発事業における便宜供与を意図したもので、具体的には本来の容積率を引き上げるためのものでした。また、産経新聞が森喜朗元文相に未公開株が譲渡されたことを報じ、これにより中曽根康弘前首相や竹下登首相など、名だたる政治家たちも事件に関与していることが明るみに出ました。最終的には90人以上の政治家が株の譲渡を受けていたことが判明しました。

国会での追及と告発

この問題は国会で激しく追及され、社民連の衆議院議員楢崎弥之助が名簿の提出をリクルートに要求するなどし、事件はさらに大きな注目を集めました。事件の真相を明らかにするため、楢崎は隠し撮りを行い、リクルート関係者を告発する記者会見を開催しました。この告発を受けて東京地検特捜部が捜査を開始しました。

捜査と起訴

1989年には、政界や文部省、労働省、NTTなど、広範なルートで捜査が進められ、事件に関与した江副浩正ら贈賄側と、藤波孝生元官房長官ら収賄側が起訴されました。最終的に、政治家たちは収賄罪や贈賄罪で判決を受けることになりますが、大物政治家の立件は実質的には進まず、多くが在宅起訴に留まりました。

事件の影響と後の展開

リクルート事件は政界に甚大な影響を持ち、その後の日本の政治改革の火付け役となりました。この事件をきっかけに、公職選挙法が改正され、収賄罪で有罪となった政治家は実刑判決でなくとも公職を失うという新たな規範が設けられました。また、この事件は自民党の支持率を低下させ、連立政権への道を開くことになります。この事件は、リクルート社にも深刻な経営危機をもたらし、会社のイメージは著しく悪化しました。

民間企業においても、リクルートコスモスは事件以降の経営に影響を受け、バブル崩壊にも拍車がかかりました。最終的には、江副浩正がリクルートから身を引くこととなり、リクルートグループは様々な改革を迫られることになりました。

まとめ

リクルート事件は、日本の政治や経済において重要な転機となった出来事です。それにより政治改革が進むきっかけを作り、現在の日本の政治体制に深い足跡を残しています。

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