リサの妖精伝説

リサの妖精伝説：メディアミックスで彩られた80年代アイドルゲーム

1988年、コナミより発売された『リサの妖精伝説』は、当時絶大な人気を誇っていたアイドル、立花理佐を主人公に据えたメディアミックス・アドベンチャーゲームです。キャッチコピーは『あなたの勇気と知恵を、理佐にください。』と、プレイヤーの協力を促すような、親しみやすいフレーズが用いられています。本作品は、1987年に中山美穂を主人公に据えた『中山美穂のトキメキハイスクール』に続く、アイドルを実名で起用したディスクシステムゲームとして注目を集めました。

ゲームの世界観とストーリー

プレイヤーは、立花理佐の大ファンである少年（名前は自由に設定可能）として物語に臨みます。コンサート会場で突如発生した落雷によって、主人公と理佐は不思議な世界へと迷い込みます。そこで出会うのは、理佐そっくりの光の妖精。妖精は、暗闇の魔女デリラによって世界が闇に覆われようとしており、平和を取り戻すために主人公と理佐の協力を求めます。

世界を救うためには、「平和のしるしのハープ」「正義のしるしの聖剣」「愛のしるしの宝石」という3つの象徴を集め、魔女を倒す必要があるのです。この冒険を通じて、主人公と理佐は、おとぎ話の世界を彷彿とさせる様々な場所を訪れ、数々の困難に立ち向かいます。

ゲーム内容と特徴

ゲームシステムは、コマンド選択式を採用。プレイヤーは用意されたコマンドを選択することで物語を進めていきます。セーブ機能も搭載されており、冒険の途中でゲームを中断することも可能です。

ゲームは全4章構成。童話や神話から着想を得た、個性豊かなステージが用意されています。マッチ売りの少女やヘンゼルとグレーテル、人魚姫、浦島太郎といったお馴染みのキャラクターが登場するなど、様々な童話がモチーフとして用いられています。各ステージでは、パズルや謎解き、戦闘など、多様なゲーム性が組み込まれています。

特に印象的なのは、第3章で遭遇するメデューサとの戦い。石化された人魚姫を救出し、メデューサを倒すことで聖剣を手に入れるという、スリリングな展開が待ち構えています。また、第4章では、イバラの道や暗闇の魔女の城など、緊張感あふれる場面が続きます。最終決戦では、鏡の世界で本物の理佐と偽りの理佐を見分けなければならず、プレイヤーの判断力が試されます。

メディアミックス展開

『リサの妖精伝説』は、ゲームソフトだけでなく、メディアミックス展開も積極的に行われました。立花理佐の6thシングル『リサの妖精伝説 -FAIRY TALE-』がイメージソングとしてリリースされ、歌詞と振り付けにゲームのヒントが隠されているなど、ゲームと音楽の融合が図られています。さらに、ゲーム中に表示される電話番号に電話をかけると、ゲーム攻略のヒントが得られる、期間限定のテレホンサービスも実施されました。

ゲーム性と評価

『ファミコン通信』のクロスレビューでは25点、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票では15.70点と、一定の評価を得ています。一方で、『ユーゲー』誌では、異世界への転移という設定や展開について、独特の意見が述べられています。

青いディスクカードという、当時としては珍しい形態での発売も話題を呼びました。任天堂以外のメーカーが青いカードを使った唯一の作品として、コレクターアイテムとしても価値が高いと言えるでしょう。

『リサの妖精伝説』は、80年代アイドルブームとゲーム文化が融合した、時代を象徴する作品と言えます。独特の世界観とゲーム性、そしてメディアミックス展開は、多くのプレイヤーに忘れられない思い出を残したに違いありません。

もう一度検索