リサの妖精伝説 (シングル)

立花理佐 シングル「リサの妖精伝説」：ゲームと映画の融合、そして隠された謎

1988年7月13日、立花理佐の6枚目のシングル「リサの妖精伝説」がリリースされました。このシングルは、コナミ（現コナミデジタルエンタテインメント）のファミリーコンピュータ ディスクシステム用ゲームソフト『リサの妖精伝説』のイメージソングとして制作された作品です。

しかし、「リサの妖精伝説」というタイトルはディスク全体のタイトルであり、収録楽曲のタイトルではありません。一般的には「リサの妖精伝説 -FAIRY TALE-」という楽曲がシングル「リサの妖精伝説」として認識されています。このシングルには、もう一曲「リサの妖精伝説 -BE-BOP HIGHSCHOOL-」が収録されています。両A面シングルではありませんが、共通のメインタイトルを持つ2曲が収録されている点が特徴的です。

興味深いのは、両楽曲が同じメロディーと曲構成を持ちながら、歌詞が全く異なる点です。「おいで理佐の～」というフレーズ以外、歌詞には共通点がありません。それぞれの楽曲の長さは5分36秒と、当時のアイドルシングルとしては異例の長尺となっています。

「リサの妖精伝説 -FAIRY TALE-」：ゲームの世界観を凝縮

「リサの妖精伝説 -FAIRY TALE-」は、ゲーム『リサの妖精伝説』の世界観を反映した楽曲です。歌詞には「ランプ」「リボン」「飛行艇」「レモン」「エメラルド色の剣」「ブルーの鏡」など、ゲームや童話の世界を思わせるキーワードが多数登場します。また、立花理佐のフルネームを逆にした「Sarina Bachita」というフレーズが、呪文のように30回も繰り返されて歌われています。

さらに、楽曲中には魔物の声風のアレンジが施された不気味な「Sarina Bachita」の声や笑い声が挿入されています。そして、立花理佐の歌唱時の振り付けにも、ゲーム攻略のヒントが隠されていたという、当時としては非常に斬新な試みが行われています。

1番の歌詞の1～6行目のそれぞれの行の頭文字を繋げると「ラリさレエブ」となり、これはゲームの秘密のパスワードの一部「さりなばちた」を暗示しています。また、2番の歌詞の頭文字を繋げると「ハあプひいて」となり、ゲームの最終ボス戦の重要なヒントとなっています。

この楽曲は、立花理佐の楽曲で唯一ミュージックビデオが存在するシングルでもあります。ミュージックビデオはタイの廃城を舞台に、妖精のような白いドレスを着た立花理佐が、何者かに追いかけられるシーンが描かれています。

「リサの妖精伝説 -BE-BOP HIGHSCHOOL-」：ツッパリ文化へのオマージュ

一方、「リサの妖精伝説 -BE-BOP HIGHSCHOOL-」は、東映映画『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』へのタイアップを意識して制作されました。歌詞は「-FAIRY TALE-」とは全く異なり、「港の桟橋」「火傷しそうな情熱」「ハンパなヤツは一人もいない」など、当時のツッパリ文化を彷彿とさせる言葉が用いられています。楽曲中には、ツッパリ風の「Oh Be-Bop Rock'n'roll」という声が挿入されています。

「Sarina Bachita」のフレーズは「Oh Be-Bop Rock'n'roll」に置き換えられ、同様に30回繰り返されています。サビの部分では、「おいで理佐のフェアリー・テール」が「おいでリサのBe-Bop Highschool」に変わっています。

豪華クリエイター陣による楽曲制作

両楽曲とも作詞は松本隆、作曲は筒美京平、編曲は小林武史という、日本の音楽史に名を刻む豪華なクリエイター陣によって制作されました。

収録作品とその後

「リサの妖精伝説 -FAIRY TALE-」は、12インチシングル、オリジナルアルバム『Wooh』、ベストアルバム『GOLDEN☆BEST 立花理佐』、『NEW BEST 1500 立花理佐』などに収録されています。「リサの妖精伝説 -BE-BOP HIGHSCHOOL-」も、ベストアルバムなどに収録されています。

「リサの妖精伝説」は、ゲームソフトとのタイアップ、映画へのオマージュ、そして隠されたゲーム攻略ヒントなど、様々な要素が詰め込まれた、立花理佐の代表的な楽曲の一つと言えるでしょう。5分を超える長尺の楽曲と、タイの廃城を舞台にしたミュージックビデオも、当時の音楽シーンにインパクトを与えたと言えるでしょう。

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