リシャブ・シェッティ

リシャブ・シェッティ

リシャブ・シェッティ（1983年7月7日生）は、インド南部カルナータカ州を拠点とするカンナダ語映画界で異彩を放つ存在です。彼は俳優、映画監督、そして映画プロデューサーとして多岐にわたる活動を展開しており、特に自身が監督と主演を務めた作品『Kantara』は国内外で極めて高い評価を受け、彼の名を一躍有名にしました。これまでに、インド映画界で最も権威ある国家映画賞をはじめ、フィルムフェア賞 南インド映画部門、カルナータカ州映画賞など、数々の栄誉ある賞を受賞しています。

生い立ちと俳優への道

1983年7月7日、カルナータカ州マンガルール近郊のカドリにあるブントの家庭に生まれたリシャブ・シェッティは、故郷クンダプラで基礎的な教育を受けました。その後、ベンガルールに進学し、ヴィジャヤ・カレッジで商学の学位を取得しています。クンダプラでの学生時代に触れた伝統芸能ヤクシャガーナが、彼の演劇への関心の始まりでした。ベンガルール移住後は積極的に演劇活動に参加し、その才能と技術が高く評価されたことが、彼がプロの俳優を目指す決定的なきっかけとなりました。

キャリアの形成

大学卒業後、リシャブ・シェッティは俳優になる夢を追いながら、様々な職業を経験しました。飲料水販売、不動産業、ホテルの従業員など、いくつもの仕事を転々としながらも目標を見失うことなく、ベンガルールの州立映画テレビ研究所で演出科のコースを修了します。映画界に入った当初は助監督として経験を積み、製作の現場を学びました。この頃、後に多くのプロジェクトでタッグを組むことになる盟友、ラクシット・シェッティと出会い、親交を深めていきます。

俳優・監督としての飛躍

2012年、リシャブ・シェッティは『Tuglak』で俳優としてのキャリアをスタートさせました。翌2013年には『Lucia』で警官役を演じ、2014年にはラクシット・シェッティ監督作『Ulidavaru Kandanthe』で主要キャストの一人として抜擢されるなど、俳優としての存在感を徐々に高めていきます。一方、監督としては2016年にラクシット・シェッティを主演に迎えた『Ricky』でデビューを果たしますが、この作品の興行成績は平均的な結果に終わりました。しかし、同年後半に監督した青春映画『Kirik Party』が予想を遥かに超える大ヒットを記録し、監督としての手腕が広く認められることとなります。2018年に手掛けた『Sarkari Hi. Pra. Shaale, Kasaragodu, Koduge: Ramanna Rai』は批評家から絶賛され、国家映画賞の最優秀児童映画賞を受賞し、監督としての評価を不動のものとしました。俳優としても、2019年公開の『ベルボトム』で待望の主演デビューを果たし、中心的な存在へと駆け上がります。2021年の『Garuda Gamana Vrishabha Vahana』ではギャング役を演じ、主演のラージ・B・シェッティと共にその演技が高く評価されました。

『Kantara』の世界的成功

そして2022年、リシャブ・シェッティは自身の集大成ともいえる作品『Kantara』を監督・主演として発表します。当初はカンナダ語圏での公開に留まりましたが、圧倒的な映像美、文化的な深み、そしてリシャブ・シェッティ自身の渾身の演技が口コミで評判を呼び、批評家から熱狂的な称賛を集めました。その人気を受けて他の言語への吹替版が製作され、インド全土、さらには海外でも公開されると、記録的な興行収入を叩き出し、カンナダ語映画として歴代2位の興行成績を樹立する歴史的ヒットとなりました。リシャブ・シェッティ自身も、『Kantara』での演技と監督手腕が高く評価され、第53回インド国際映画祭での審査員特別賞や、第69回国家映画賞での最優秀主演男優賞など、国内外で数々の栄誉に輝き、その才能が広く認知されることとなりました。

リシャブ・シェッティは、多才な創造力と情熱をもって、カンナダ語映画界に新たな風を吹き込み続ける稀有なアーティストです。伝統への敬意と現代的な感性を融合させた彼の作品は、多くの観客を魅了し、今後のさらなる活躍が大いに期待されています。

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