リスとハリネズミ

リスとハリネズミ：北朝鮮発、異色のアニメーション

「リスとハリネズミ」（英語: Squirrel and Hedgehog、朝鮮語: 다람이와 고슴도치）は、北朝鮮の国営アニメーション制作会社であるSEKスタジオが制作し、1977年から2012年にかけて朝鮮中央テレビで放送されたテレビアニメです。一見すると子供向けのアニメ作品ですが、その内容には、戦争、銃撃、殺人、スパイ活動といった現代社会では異質とも捉えられる表現が数多く含まれており、国内外で議論を呼んでいます。

あらすじと登場キャラクター

物語の舞台は「コトドンサン（꽃동산）」と呼ばれる場所です。主人公は、シマリスの姿をした「クムセギ（금색이）」。彼はコトドンサンの勧誘員であり、同時にスパイとしての顔も持ちます。弟の「バムセギ（밤색이）」と共に、イタチ軍団やオオカミ軍団による攻撃からコトドンサンを守るために戦います。

コトドンサンとその仲間たち

クムセギ（금색이）: シマリスの主人公。勧誘員兼スパイとして活躍。
バムセギ（밤색이）: シーズン2から登場するクムセギの弟。
チュダラミ（줄다람이）: クムセギの戦友。スパイとしても活動。
ハリネズミの勧誘員（고슴도치 정찰병）: イタチ軍の秘密兵器を破壊し、自決した。
ウンドッチ（은도치）: 戦死したハリネズミの勧誘員の弟。バムセギの戦友。
ハリネズミ隊長（고슴도치 부대장）:
リス隊長（다람이 부대장）:
モル博士（두더지 박사）: シーズン2から登場するモルモットの博士。地質学の研究者。

敵対する軍団

イタチ軍団（족제비 군단）:
イタチ大将（족제비 대장）: イタチ軍の最高司令官。狡猾な戦略家。
ムルマンチョ（물망초）: イタチ大将の参謀。粘り強く、しつこい攻撃が特徴。
ウェギパリ（외귀팔이）: ムルマンチョの手下。耳のないネズミ。
ムルサジョ（물사조）: ムルマンチョの手下。
黒イタチ（검은 족제비）:
フェレット博士（흰 족제비 박사）:
オオカミ軍団（승냥이 군단）:
オオカミ大将（승냥이 대장）: シーズン2から登場するオオカミ軍の最高司令官。
キツネ将校（여우 장교）: オオカミ大将の副官。
イタチ補佐官（족제비 보좌관）: イタチ軍団出身のオオカミ大将の補佐官。

物語は、コトドンサンの平和を守るために、クムセギたちが敵軍と戦う姿を軸に展開します。特にイタチ軍の参謀であるムルマンチョは、執拗な攻撃を仕掛け、クムセギたちを苦しめます。また、シーズン2からは、オオカミ軍団も登場し、物語はさらに複雑化していきます。

声優陣

各キャラクターの声優は以下の通りです。

クムセギ: 不明（エピソード1、2～4）→ウォン・ジョンソク（エピソード5～31）→ホ・ギョンフイ（エピソード32）
チュダラミ: 不明（エピソード4）→キム・テリョン（エピソード10～13、17）→ウォン・ジョンソク（エピソード14、15）→リム・ボクフイ（エピソード19～）
バムセギ: リム・アンヨン
ハリネズミの勧誘員: 不明（エピソード1～4）→クォンニョンジュ
ウンドッチ: チェ・ヒョンハ
モル博士: キム・タエホング
イタチ大將: キム・タエホング
ムルマンチョ: 不明（エピソード7～11）→キム・テリョン（エピソード6、12～26）→ウォン・ジョンソク（エピソード27）→リム・ボクフイ（エピソード28～）
Oegwipali: クォンニョンジュ（エピソード8～26）→イ・ウンジュ（エピソード27）
フェレット博士: キム・タエホング
オオカミ大將/ケオテオ大將: 不明（エピソード27、28）→キム・ヨンチョル（エピソード31～）
イタチ助手: キム・テホン（第27話）→ソン・ヨンチョル（第31話～）
キツネ将校/中尉、キツネスパイ員: リム・ウンヨン

作品の評価と解釈

「リスとハリネズミ」は、北朝鮮国外の批評家からは、登場キャラクターがそれぞれ特定の国を象徴しているのではないかという解釈がされています。リスとハリネズミは北朝鮮人、ネズミは韓国人、イタチは日本人、オオカミはアメリカ人を表しているという説が有力です。しかし、SEKスタジオ側は、このような解釈を否定し、作品の真の目的は、子供たちに愛、友情、愛国心を教えることだと主張しています。

しかし、SEKスタジオの内部スタッフからは、「イタチ、ネズミ、オオカミは外国の侵略者（帝国主義者）を象徴している」という声もあり、作品の政治的な側面は否定しきれない状況です。

まとめ

「リスとハリネズミ」は、子供向けアニメでありながら、その過激な描写や政治的な解釈から、国内外で注目を集める作品です。北朝鮮という特殊な背景を持つこのアニメは、その複雑なメッセージ性とともに、多くの議論を呼んでいます。

リスとハリネズミ