リス族

リス族について

リス族（リスぞく、傈僳族）は、主に中国、ミャンマー、タイ、インドの国境地域に居住する少数民族である。彼らは伝統的に焼畑農業を中心に生活し、主に山岳地帯での移動開拓に依存している。リス族の居住地はサルウィン川に沿い、南北に広がる帯状の地域に形成されている。

分布と人口

中華人民共和国では、リス族は56の民族の中で21番目の人口を誇り、雲南省にある怒江リス族自治州を中心に広がっている。2000年の調査によれば、中国国内におけるリス族の総人口は634,912人とされており、タイでは約30,000人が居住している。また、ミャンマーやインドの一部地域にもリス族は分布している。

彼らの言語であるリス語は、チベット・ビルマ語派に属し、特にイ族やナシ族との関係が深い。教育や公的な文書では新たに制定されたラテン文字が使用されることが多い。

歴史的背景

リス族の祖先は、「クドゥネイ」と呼ばれる場所から南へと移動したとされる。歴史的には、リス族は8世紀ごろには記録に現れ、唐代の文献にもその名が見られる。彼らは当時「烏蛮」というグループの一部であり、現在の四川省と雲南省に分布していた。

明代には隣接する納西族による支配を受け、清代には満州族の圧力も加わったが、多くのリス族は抵抗を続けた。最終的には、彼らは西方へ移動し、インドやタイへと居住地域を広げた。

文化と信仰

リス族の文化は、長年の移動や他民族との接触によって多様化している。中国の漢族は彼らを白リス、黒リス、花リスに分類しているが、実際にはサルウィン川を基準に上流域の「ロヴ・リス」と下流域の「ルシ・リス」に分けている。

彼らの宗教は独自の多神教で、創造神ウサを最高神として信仰している。リス族の社会構造では、父系の出自によって祖霊を祭ることが重要視されており、祖霊の祀り方は彼らの文化的なアイデンティティの一部である。

コロンリショー

ミャンマー・シャン州には「コロンリショー」と呼ばれるエスニックグループが存在する。彼らは、リス族と同じく移動してきた中国の少数民族であり、近年では彼らに対する識別が求められている。コロンリショーは、歴史的にはビルマの王に仕えていたと自称しており、今もなお自己同一視においてリス族とは異なる独自の文化を保っている。

まとめ

リス族はその独特な歴史、文化、信仰を持つ民族であり、彼らの生活様式は現在でも多くの研究や関心を集めている。リス族の生活や文化について深く理解することは、彼らの住む地域の多様性と豊かさを知る手助けとなる。

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