リチウム (ニルヴァーナの曲)

ニルヴァーナ「リチウム」：狂騒と鎮静の狭間で

「リチウム」(Lithium)は、アメリカのロックバンド、ニルヴァーナ(Nirvana)の代表的な楽曲の一つです。1991年に発表されたアルバム『ネヴァーマインド』(Nevermind)に収録され、シングルとしてもリリースされました。

楽曲の背景

録音秘話

「リチウム」のレコーディングは、1990年4月にブッチ・ヴィグのスタジオで初めて行われました。しかし、当時のドラマー、チャド・チャニングの演奏にカート・コバーンは不満を抱いていたようです。その後、ドラマーがデイヴ・グロールに交代した後、カリフォルニアで再度録音を試みましたが、上手くいきませんでした。フラストレーションを晴らすために、バンドメンバーが「エンドレス・ネームレス」をライブでレコーディングしたところ、カートが激怒してスタジオをのたうち回ったというエピソードが残っています。

歌詞の意味

曲名にもなっている「リチウム」は、双極性障害やうつ病の治療に用いられる薬を指していると考えられます。カート・コバーンは生前、宗教を「大衆にとっての素晴らしい鎮静剤」と表現しており、「リチウム」も宗教も、人が生きる上での苦痛から逃れるための手段である、という考えが込められているのかもしれません。

歌詞の内容について、カートは架空の出来事だと語っています。「ガールフレンドを失った男が、彼女の死（AIDSや交通事故など）によってふさぎ込み、自殺を避けるために宗教に救いを求める」というストーリーが描かれていると説明しました。また、彼は「人々には悪徳が必要なのだ」とも述べています。ただし、カート自身も「ガールフレンドとの別れや、彼女との関係が良くなかった」という自身の経験が歌詞に反映されていることを認めています。

収録曲

シングル「リチウム」には、以下の楽曲が収録されています。

1. [リチウム]
2. ビーン・ア・サン(ライヴ)(Been a Son (Live))
3. カーマジョン(Curmudgeon)
4. D-7（ジョン・ピール・レディオ・セッション)(D-7 (John Peel Radio Session))

カバー

「リチウム」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

ウィーザー - 2019年のロック・イン・リオでカバー。
MAN WITH A MISSION - 日本人アーティストによるトリビュート・アルバム『NEVERMIND TRIBUTE』でカバー。
* ポリフォニック・スプリー - 2006年のEP『Wait』でカバー。

まとめ

「リチウム」は、ニルヴァーナの音楽性を象徴する楽曲の一つであり、カート・コバーンの内面を深く反映した作品と言えるでしょう。歌詞に込められたメッセージや、レコーディング時のエピソードを知ることで、より深く楽曲を理解することができます。様々なアーティストによるカバーを通して、「リチウム」の多様な解釈に触れてみるのも面白いでしょう。

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