双極性障害

双極性障害について

概要

双極性障害とは、躁病と抑うつが交互に現れる特徴を持つ精神障害である。古くは躁うつ病とも称されており、ICD-10では双極性感情障害と呼ばれることがある。慢性的な病気であり、多くの場合、回復と再発を繰り返す。病気の進行には双極I型と双極II型という2つのタイプが存在し、これらはそれぞれ躁病や軽躁病を伴うかどうかで分類される。世界保健機関（WHO）によると、双極性障害に罹る人は約6000万人と推定されており、25歳頃に発病しやすいことが知られている。

診断基準

双極I型障害

双極I型障害は、躁病エピソードが1回以上経験されれば診断される。これに対して、抑うつエピソードが併発することが多い。症状がない寛解の時期を含む、様々な気分の変動が見られるのが特徴である。

双極II型障害

双極II型障害は、抑うつエピソードと軽躁病エピソードのみで構成される。軽躁病は見過ごされがちな場合も多く、患者自身は反復的な抑うつと考えていることが多い。特定の季節に再発を繰り返す傾向もある。

症状の詳細

躁病

躁病エピソードでは、異常な高揚感や自尊心の肥大、睡眠欲求の減少、多弁、注意散漫、活動の増加が見られ、これによって社会生活に影響を及ぼすことが多い。

抑うつ

抑うつエピソードでは、持続的な抑うつ気分や興味・喜びの喪失が特徴的で、より重篤な症状を伴う場合は自殺念慮が生じやすい。抗うつ薬の使用に関しては、躁転を引き起こすリスクがあるため注意が必要とされている。

混合エピソード

躁病と抑うつの症状が同時に現れる混合エピソードも存在し、自殺率が高まる危険因子である。

発症のメカニズム

双極性障害の発症には、遺伝と環境要因が大きく関与していると考えられている。特に一卵性双生児では高い一致率が見られ、遺伝的要因が影響を及ぼしていることが示唆されている。家庭内の感情表出レベルが高い場合、リスクが増加する可能性がある。

治療法

双極性障害には、気分安定薬や抗精神病薬の使用が一般的で、心理社会的治療の併用が推奨されている。再発防止には、治療を継続することが重要とされ、生活リズムの管理、ストレスの管理も大切な要素である。

支援

双極性障害の患者は、医療費の負担軽減や自立支援など、様々な支援が受けられる。自助会活動などを通じて、社会的サポートを得ることが可能である。

歴史的背景

双極性障害の概念は1850年代に確立され、エミール・クレペリンが躁うつ病と命名したことで知られる。その後、研究が進展し、双極I型、II型といった分類が形成された。近年では、創造性との関連性についても議論がなされている。

まとめ

双極性障害は、専門的な診断と治療が求められる病気である。適切な治療により日常生活の質は向上し、患者がより良い生活を送るための支援体制が重要である。

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