リチャード・バセット

リチャード・バセットの生涯

リチャード・バセット（1745年4月2日 - 1815年8月15日）は、アメリカ合衆国デラウェア州出身の著名な法律家及び政治家で、特にアメリカ独立戦争における活動や、アメリカ合衆国憲法制定に関わったことが知られています。彼はデラウェア州の知事と上院議員を務め、連邦党の一員として重要な役割を果たしました。

生い立ち

バセットはメリーランド州のセシル郡ボヘミアフェリーで、アーノルドとジュディス・トンプソン・バセットの間に生まれました。彼の父は酒場のオーナーであり、農業を行っていましたが、バセットが幼少期に家族を去りました。バセットは1774年にアン・エナルスと結婚し、3人の子供をもうけますが、彼女が死去した後、1796年にベッツィ・ガーネットと再婚しました。

母方の家族はボヘミア荘園の富を受け継いでおり、バセットは彼女の遺産によって育てられました。このような家庭環境から、バセットは早くから地域社会で頭角を現すようになりました。

政治キャリアの初期

バセットは法律を学び、1770年に法廷弁護士として認可を受けました。彼はドーバーに移住し、法務活動を開始しつつ、農業にも従事しました。その後、彼は地元で名を馳せ、1774年にはボストン救済委員会の一員に選ばれます。1776年にはデラウェアの安全委員会で活動し、同年のデラウェア憲法の起草にも携わりました。

バセットは1776年から1779年にかけてデラウェア邦上院の議員となり、続けて下院にも在籍しました。この間、彼はデラウェア邦議会を通じて地域の声を政治に反映させる役割を担いました。

アメリカ独立戦争

アメリカ独立戦争中、バセットは特に州の民兵を組織したことで知られています。彼は第1デラウェア連隊を立ち上げ、知人のジョン・ハスレットを指揮官に任命しました。その部隊は小規模ながらも800名以上の兵士を抱え、大陸軍の中でも有力な部隊となりました。

戦争の最中、バセットは友人のロドニーと共に従軍し、ケント郡の民兵騎兵部隊を指揮しました。彼の行動は地域の士気を高め、独立戦争への支持を促進する重要な意味を持ちました。

憲法制定とその後

バセットは独立戦争の経験から、連合規約の欠点に気づき、1786年のアナポリス会議、1787年のフィラデルフィア憲法制定会議にデラウェアの代表として出席します。彼は憲法の策定に貢献し、デラウェアが最初に批准する州となる手助けをしました。その後、デラウェア州議会は彼を初代のアメリカ合衆国上院議員として選出します。

バセットは強い中央政府を支持し、特に当時の副大統領ジョン・アダムズの立場に近い考えを持っていました。上院では1789年から1793年まで2つの会期にわたり活動し、政治における影響力を維持しました。

メソジストへの転向

バセットは高い政治的地位に加え、メソジスト教会の熱心な信者でもありました。1778年にフランシス・アシュベリーと出会ったことでキリスト教へと傾倒し、生涯を通じてメソジストの振興に尽力しました。彼はまた、奴隷制度の廃止にも熱心で、自分の奴隷を解放し、他者にもその行動を促しました。

最後の時

バセットは1815年8月15日にセシル郡のボヘミア荘園で亡くなり、最初はその地に埋葬されました。しかし1865年にはデラウェア州ウィルミントンの墓地に移葬されました。彼の死後、バセットは地域社会で高く評価されており、その影響は彼の娘や親族を通じて引き継がれました。デラウェア州の歴史において、バセットは重要な位置を占めています。

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