リッカルド・ベリ

リッカルド・ベリ（1858年 - 1919年）は、スウェーデン・ストックホルム出身の画家であり、スウェーデン国立美術館の館長を務めました。風景画や肖像画で知られ、スウェーデン美術界に大きな影響を与えました。

グレ＝シュル＝ロワンと「オプーネント」

1880年代、パリ郊外のグレ＝シュル＝ロワンは芸術家の集まる村として知られ、特に北欧の画家たちが多く滞在していました。1882年、ベリもこの地を訪れ、カール・ラーション、アンデシュ・ソーン、ブルーノ・リリエフォシュ、カール・ヌードストローム、ニルス・キュレーゲルといった若い画家たちと交流を深めます。彼らは「北欧グレー派」と呼ばれ、帰国後、アカデミーに反発する「オプーネント」（反逆者）を結成し、スウェーデン美術界に新風を吹き込みました。

パリ万博でのグランプリ受賞

1889年のパリ万国博覧会では、ベリ、ラーション、ソーン、リリエフォシュら若い画家たちが出展し、ベリがグランプリを獲得しました。ラーションとソーンが金賞、リリエフォシュが銀賞と、若い世代が上位を独占したこの結果は、それまでのスウェーデン美術界を牽引してきた画家たちとの世代交代を象徴するものとなりました。

ヴァールベリ派とゴーギャンの影響

1892年、ベリはゴーギャンの『ブルターニュ風景』を購入し、感銘を受けます。ヌードストローム、キュレーゲルとともに、1893年から1896年にかけてヴァールベリで共同生活を送り、ゴーギャンの影響を受けながら、総合主義的な様式を発展させました。彼らは「ヴァールベリ派」と呼ばれましたが、ラーションからは「ゴーギャンの剽窃に過ぎない」と批判されました。

肖像画家としての才能

ベリは、友人たちの肖像画を数多く描き、中でも『Nordisk sommarkväll』（1899年 - 1900年）は彼の代表作として知られています。また、エレン・ケイ、ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ、グスタヴ・フレーディング、カール・ヤルマール・ブランティングなど、著名人の肖像画も手がけました。特に、1905年に描いたストリンドベリの肖像画は、彼の最も有名な作品の一つとなっています。ベリは1889年にストリンドベリと出会い、親交を深めました。二人の間では、81通のストリンドベリからベリへの手紙と、26通のベリからストリンドベリへの手紙が残されています。

美術教育と国立美術館館長

1890年代には、ストックホルムに自身の芸術学校を設立し、後進の育成にも尽力しました。1915年には、スウェーデンの国立美術館の館長に就任し、スウェーデン美術界の発展に貢献しました。

リッカルド・ベリは、画家としてだけでなく、教育者、美術館館長としても、スウェーデン美術界に多大な貢献をした人物です。

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