リッサウイルス感染症

リッサウイルス感染症について

リッサウイルス感染症とは、ラブドウイルス科に属するリッサウイルスが引き起こすウイルス感染症であり、人獣共通感染症の一つとして位置づけられています。このリッサウイルスの中には、広く知られている狂犬病ウイルスが含まれています。リッサウイルス属は全部で14種類が確認されており、それ以外のリッサウイルスは狂犬病類似ウイルスとも呼ばれていますが、これらの感染は非常に稀です。特に日本では、2014年までに感染やウイルスの検出例は一切ありません。

病原体の分類

リッサウイルスは、7つの遺伝子型に分類されています。以下がその概要です：

• - Genotype 1：狂犬病ウイルス（Rabies virus）
• - Genotype 2：ラゴスコウモリウイルス（Lagos bat virus）※現在まで感染例なし
• - Genotype 3：モコラウイルス（Mokola virus）
• - Genotype 4：ドゥベンヘイジウイルス（Duvenhage virus）
• - Genotype 5：ヨーロッパコウモリリッサウイルス1（EBL1）
• - Genotype 6：ヨーロッパコウモリリッサウイルス2（EBL2）
• - Genotype 7：オーストラリアコウモリリッサウイルス（ABL）

コウモリはGenotype 2から7の主な宿主とされ、これらのウイルスはアフリカやヨーロッパ、オーストラリアで確認されています。さらに、東南アジア地域では抗体を持つコウモリも見つかっています。

治療と感染例

リッサウイルス感染症の報告されている感染例は1968年から2002年までの間に9件と非常に限られており、モコラウイルス感染者の1例を除き、その他はいずれも死亡しています。リッサウイルスは、狂犬病ウイルスとほぼ同様の構造や性質を持ち、臨床症状も似ているため、正確な診断には遺伝子型の確認が不可欠です。

ただし、モコラウイルスを除く他のリッサウイルスについては、狂犬病ワクチンの投与が有効とされており、感染予防に努めることが重要です。狂犬病ワクチンは経験則に基づき、有効な治療方法として認知されています。

まとめ

リッサウイルス感染症は極めて稀な疾患であり、現在までのところ日本での感染例は確認されていません。しかし、世界的な視点で見ると、リッサウイルスは潜在的に重篤な病気を引き起こす可能性があり、特にコウモリとの接触に注意が必要です。感染症の観点から、予防策やワクチン接種が重要であることを理解し、その知識を広めていくことが求められています。

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