リッジリー砦の戦い

リッジリー砦の戦い：ダコタ戦争の激戦

リッジリー砦の戦いは、1862年に勃発したダコタ戦争における重要な戦闘の一つです。この戦いは、ミネソタ州南部に位置するリッジリー砦を舞台に、スー族インディアンとアメリカ軍および志願兵の間で繰り広げられました。砦は当時、サンティ・スー族インディアン居留地と開拓地の間にある唯一の軍事拠点であり、その戦略的重要性は非常に高いものでした。

戦闘の背景

1862年8月18日、ミネソタ州レンビル郡のインディアン管理局がスー族インディアンの襲撃を受けました。これは、食料の配給が遅れ、飢餓状態に陥ったインディアンたちが、自らの食料を求めて行動を起こしたことが原因でした。管理局での議論の結果、インディアンには少量の食料が渡されましたが、それは一時的なものでしかありませんでした。この時、インディアンの数は白人を大きく上回っており、白人たちは次第に不快感を募らせ、その場を離れ始めました。インディアン戦士の一部が彼らを追跡したことがきっかけとなり、戦闘が勃発しました。

管理局での戦闘で、白人側は20人が死亡、10人が捕虜となる大損害を被りました。生存者は逃亡し、多くはリッジリー砦を目指しました。最初に砦に到着したJ・C・ディキンソンは、家族を連れて砦に逃げ込みましたが、当初、砦の守備隊は管理局での襲撃を信じませんでした。しかし、次々と到着する開拓者たちの証言によって、ミネソタ第5連隊B中隊のジョン・S・マーシュ大尉は事態の深刻さを認識し、部隊を招集しました。マーシュ大尉は46名の兵士とインディアン通訳のピーター・クインを率いて管理局に向かいましたが、途中多くの白人やインディアンの遺体を発見しました。この進軍中に、マーシュ大尉の部隊は激しい攻撃を受け、多くの兵士が命を落としました。マーシュ大尉自身も、撤退中に川で溺死するという悲劇に見舞われました。

一方、砦では、シーハン中尉が率いるミネソタ第5連隊C中隊の増援が到着しました。また、セントポールから駆けつけた志願兵たちによって、砦の兵力は大幅に増強されました。これらの志願兵の中には、南北戦争に従軍する予定だった兵士たちも含まれていました。彼らは、ハーパー・ライフル銃と弾薬を携えて、砦の防衛に加わりました。その結果、リッジリー砦の守備兵は、B中隊の約65名から200名以上に膨れ上がりました。

戦闘の経過

8月20日、晴天の下、リッジリー砦は予期せぬインディアンの猛攻撃に晒されました。約400名と推定されるインディアン戦士たちが、砦への攻撃を開始しました。最初の銃弾でC中隊の兵卒が死亡し、B中隊の伍長が負傷しました。負傷した伍長は後に死亡と宣告されましたが、奇跡的に生き残り、退役しました。砦の守備兵たちは、インディアンの攻撃を迎え撃ちましたが、数で劣勢であることは明らかでした。戦闘は終日続き、その結果、砦の守備隊は5名が戦死、15名が負傷するという損害を被りました。

翌日は雷雨に見舞われたため、砦の守備隊は体制を立て直すことができました。兵站軍曹のジョン・ジョーンズは、3門の6ポンド砲、2門の12ポンド砲、1門の24ポンド砲を砦に配備しました。また、砦の周囲では、逃げ惑う白人開拓者の姿が散見されました。インディアンたちは、食料や物資を求めて家々を襲撃し、女性や子供を誘拐しました。多くの開拓者が殺害され、その中には、9月3日まで砦にたどり着けなかったジャスティナ・クライガー夫人のように、命からがら逃げてきた者もいました。

8月22日、天候が回復すると、インディアンは800名に増強された兵力で再び砦を攻撃しました。最初の攻撃は撃退されましたが、その後も小規模な攻撃が続き、砦の守備兵たちは警戒を怠ることができませんでした。夕方、スー族の戦士たちは砦の北側に猛攻撃を仕掛けました。そのため、シーハン中尉は、インディアンが侵入してくるのを防ぐために、砦の北側にある建物に火を放つ決断をしました。兵士たちは、炎と煙が立ち上る光景を目撃し、インディアンたちが暗闇に消えていくのを見届けました。リトルクロウをはじめとするインディアンの指導者たちは、8月27日まで砦を包囲しましたが、この日、ヘンリー・ヘイスティングス・シブレー大佐が1,400名の民兵を率いて到着し、砦の包囲は解かれました。

戦闘の後

リッジリー砦の包囲が解かれた後も、インディアンの一部は9月23日まで白人開拓地を襲撃し続けました。9月23日、ウッドレイクにおいて大規模なインディアン部隊が捕獲され、約400名が捕虜となりました。捕虜となったインディアンのうち、303名が死刑を宣告されましたが、エイブラハム・リンカーン大統領は処刑者の数を39人にまで減らしました。最終的に、1862年12月26日、ミネソタ州マンケイトーで38名のスー族が処刑されました。このダコタ戦争では、推定500人の白人、民兵、市民が命を落としました。

リッジリー砦の戦いは、ダコタ戦争の中でも特に激しい戦闘の一つであり、多くの犠牲者を出す悲劇的な出来事でした。この戦いは、アメリカ西部開拓の歴史における、白人と先住民の間の複雑な関係を浮き彫りにする出来事として、今もなお語り継がれています。

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