リトアニア軍

リトアニア軍の概要

リトアニア軍（リトアニア語: Lietuvos ginkluotosios pajėgos）は、リトアニア共和国が誇る国軍で、人員は徴兵も含めて約2万人（2017年のデータ）に達します。リトアニア軍は、国防を中心に、北大西洋条約機構（NATO）や欧州連合（EU）の一員として安全保障政策の実施に尽力しています。

歴史的背景と防衛戦略

リトアニアの国軍は、独立革命の後に再編成され、1993年にはロシア連邦軍がリトアニアから撤退しました。2004年3月には、他のバルト三国（エストニアとラトビア）と同時にNATOに加盟し、その地位を確立しました。バルト三国は、第二次世界大戦前にソビエト連邦に侵略された歴史を共有し、独立回復後もロシアとの地理的な近接性により、国土や人口、経済規模の小ささから、NATO協力を重視する姿勢を取っています。

特に2014年以降、ロシアによるクリミア侵攻や東部ウクライナの紛争を背景に、ドイツ軍を主体としたNATO多国籍部隊がリトアニアに駐留し、約1000人の兵力が確保されています。大統領グリバウスカイテは、2017年の式典においてカリーニングラード州での軍事化の進展に対する懸念を表明しました。

自国防衛力の強化に向けた取り組みとして、リトアニアは2008年に廃止した徴兵制を2015年に再導入し、男子に9ヶ月間の軍務を課しています。また、ロシアの情報活動に対抗するためのホットラインを設け、さらにはロシアからの侵攻に備えるために民間防衛の手引書も配布しています。

現代の防衛体制

リトアニアは、ロシア領カリーニングラード州との国境に高さ2メートルのフェンスを設置する計画も進めており、カリーニングラード州とベラルーシに挟まれるポーランドのスヴァウキ・ギャップでのNATO諸国との連絡線維持が防衛戦略の要として位置づけられています。

リトアニア軍は、アメリカ合衆国が主導する中東やアフガニスタンでの軍事活動にも派遣されており、国際的な安定を保つ一員として役割を果たしています。

リトアニア軍の構成

リトアニア軍は、陸軍、空軍、海軍、特殊作戦部隊の4つの軍種から成り立っています。後方組織としては兵站司令部と訓練教育司令部が設けられており、戦時には大統領が最高司令官となり、軍司令官が指揮を執ります。

• - 陸軍 (Sausumos pajėgos; SP)
• - 海軍 (Karinės jūrų pajėgos; LKJP)
• - 空軍 (Karinės oro pajėgos; Lietuvos KOP)
• - 特殊作戦部隊 (Specialiųjų operacijų pajėgos)

日本の外務省のデータによれば、リトアニアの国防費は72億3800万ユーロ（2017年見積もり）であり、陸軍の兵力は約9600人で、海軍と空軍の人数はそれぞれ537人と1029人です。さらに、「統合軍」と呼ばれる部隊が存在し、その人数は4579人とされています。

民兵組織と軍政機関

リトアニアには、ロシアの侵攻に備えて正規軍を支援するために活動する「狙撃連合」と呼ばれる民兵組織があり、約1万1000人が所属しています。また、国防に関する政策や取り組みを統括する機関として国防省が設立されています。

このようにリトアニア軍は、強固な防衛体制を築き上げ、地域の安全保障に大きな役割を果たしています。

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