民間防衛

民間防衛 (みんかんぼうえい、英: civil defense)

民間防衛は、武力紛争や自然災害などの緊急事態に際し、国民の生命や地域のインフラを保護し、災害後の速やかな救助・復旧を目指す活動です。略して民防とも呼ばれ、文民保護の機能も含まれています（日本では国民保護に相当）。

概要

現代戦や大規模な災害では、軍隊や警察、消防だけでは全ての状況に対応しきれないことがあります。したがって、民間人が主体となって行動する必要性が高まります。民間防衛は、平時には自然災害や人為的な事故に対応するための備えとして機能します。この概念は、防災、防犯、さらには政治的要素をも包含しています。有事には政府の計画に基づき、地方公共団体の指導の下、一般市民が避難や救援活動に関与します。

民間防衛の機能

防護

各種の防護手段が用意され、公共施設や個人の安全を確保します。防護施設や防空壕が建設され、化学兵器対策として防護マスクや防護服が用意されます。耐爆設計の交通機関や、船舶の洞窟格納なども含まれることがあります。

疎開

人口密集地からの早期疎開は、被害を軽減するための重要な手法の一つです。都市計画や有事の際の文化財保管場所の見直しも、疎開の一環です。

情報提供

空襲警報を含む緊急情報の伝達があり、これが市民へ適切な行動を促します。

消火と補給

消防機関に頼らない自主的な消火活動を行い、食料などの備蓄を進めることも民間防衛の一環です。

日本における民間防衛

日本では、第二次世界大戦前から民間防衛的な施策が進められていました。特に戦後は国民保護として色々な法律が制定されました。国民保護法の成立により、消防団や地域の自治会が重要な役割を担うようになりました。現在でも国民の協力を得ながら、地域ごとの防災計画が進められています。ただ、日本の国民保護法では新たな民間防衛組織を創設しない方針が取られています。

各国の民間防衛

スイス

スイスは、冷戦時代に民間防衛の冊子を全家庭に配布し、国防意識を高める活動を行ってきました。地域の危機管理対策は今では自然災害に重きを置いています。

イスラエル

周囲が敵国に囲まれるイスラエルでは、国民が常に敵の攻撃に備えて防衛訓練を受けています。民間人も多くの状況で自らの身を守るための知識を持ち、それを実践しています。

その他の国々

イギリスやリトアニア、さらにはシリアにおいても、それぞれの状況に応じた民間防衛活動が展開されています。これらの取り組みは、各国がそれぞれの国際情勢に応じた自衛策を持つための重要な一歩となっています。

民間防衛は、災害時の被害を最小化し、地域コミュニティの結束を強める要素として、ますます重要な役割を果たしています。

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