リトル・ジョーII

リトル・ジョーII (Little Joe II)

リトル・ジョーIIは、アメリカ合衆国のアポロ計画において重要な役割を果たした固体燃料ロケットです。このロケットは、司令船の降下装置および緊急脱出用ロケットの性能を試験確認することを目的として、1963年から1966年にかけて一連の実験が行われました。主にニュー・メキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場で実施され、5回の試験が行われました。また、これに関連して、緊急脱出ロケットそのものの発射実験も行われています。

背景

リトル・ジョーIIの実験は、当初はケープ・カナベラル空軍基地で実施される予定でしたが、他の重要な実験のために発射台が使用中だったため、ホワイトサンズ・ミサイル実験場に移ることとなりました。この基地は、過去にレッドストーンミサイルの発射実験が行われた場所であり、施設の整備が整っていたため、急遽選ばれました。

実験は、テキサス州ヒューストンにある有人宇宙飛行センターの指揮のもと、ロケットを開発したジェネラル・ダイナミクス社とコンベア社、さらに宇宙船の開発を行ったノースアメリカン・ロックウェル社との協力によって進められました。ホワイトサンズ基地は、各種試験に必要なレーダーやカメラによる追跡設備、データ収集のためのインフラを提供し、また安全や指揮に関するサポートも行いました。

機体の開発

アポロ計画において、飛行士を緊急時に安全に脱出させるシステムの構築は非常に重要な課題でした。既存のロケットでは実験に適したものがなかったため、新たなロケットの開発が決定されました。製作は1962年8月から始まり、初期の設計と製作が進められ、最終チェックが完了したのが1963年7月でした。

リトル・ジョーIIは、アポロ宇宙船の司令船の直径に合わせて設計され、全長についてはアルゴル固体燃料ロケットの適合に考慮されました。また、安定した飛行姿勢を確保するために、ロケットの底部には翼が取り付けられていました。このロケットは二段式で構成されており、1段目と2段目ともに出力465kNのアルゴル・ロケットを搭載しており、それぞれの燃焼時間はおよそ40秒です。離陸時の推力を高めるために、小型補助ロケットとして出力167kNのリクルート固体燃料ロケットが導入されることもありました。

また、本機は有人宇宙船を運搬するミッションではないため、コスト削減の工夫がこらされました。他のロケットの部品を流用したり、点検作業の省略が行われました。最終的に、リトル・ジョーIIは大体成功を収めましたが、いくつかの問題も発生しました。最初の実験では自爆装置の誤設定により、ロケットが自爆しなかった事例があり、また別の実験では電子機器のエラーによって尾翼が不適切な位置に固定された結果、発射から2.5秒後に制御を失いました。これらの不具合を除けば、実験は概ね成功だったと言えるでしょう。

名前の由来

リトル・ジョーIIという名称の由来は、前のモデルであるリトル・ジョーに見られる特異なデザインにあります。この前身モデルでは、X軸とY軸方向に対称に配置されたロケットが2本ずつ取り付けられており、その配置が数字の「2」を連想させることから名付けられました。

諸元

リトル・ジョーIIはアポロ計画にとって重要な成果をもたらしたロケットであり、これにより安全性の向上や実験技術の進化が図られました。

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