リバティ・バランスを射った男

映画『リバティ・バランスを射った男』の詳細

『リバティ・バランスを射った男』（原題: The Man Who Shot Liberty Valance）は、1962年に公開されたアメリカの西部劇映画で、ジョン・フォードが監督を務めました。この映画は、白黒映像とワイド画面が特徴であり、当時の西部劇のスタイルを代表する作品です。

この映画は、モンタナ州立大学の教授ドロシー・M・ジョンソンによる同名の小説を原作としており、脚本はジェームズ・ワーナー・ベラとウィリス・ゴールドベックが手掛けました。物語は、異色の展開を持っており、クライマックスとなる決闘シーンが物語の75％ほど進んだ時点で繰り広げられ、最後の3分間でその真相が明らかになるという、通常の西部劇とは異なる倒叙形式が際立っています。また、この作品はジョン・ウェインとジョン・フォードが手がけた最後の西部劇としても知られています。

ストーリーの概要

物語は、大物上院議員であるランスが西部の小さな町シンボンを訪れるシーンから始まります。彼は牧場主トムの葬儀に出席するため、長い時間が経ったこの町を訪れました。25年前、ランスは新米弁護士としてこの町に来た際、荒くれ者リバティ・バランスに虐げられました。トムが彼を助けたことが、物語の大きな転機となります。

トムは、町での正義を守るために銃が必要だと主張し、ランスはそれに反発します。さらに、住民による州昇格運動が進行する中、リバティ一味はその運動に反対し、台頭する旧来の牧場主グループを襲撃していました。ランスは報道の自由を信じる編集長ピーボディと手を組み、決起してリバティに挑む決意を固めます。

彼らは町の選挙でリバティを打ち負かし、当選しますが、その直後、逆上したリバティはピーボディを重傷に追い込みます。情熱に燃えたランスは、銃を手に取り、リバティとの決闘に挑みます。そして、見事にリバティ・バランスを仕留め、彼の名は町で急速に広がります。

複雑な人間関係

ランスは、リバティを討ったことで人気を集める一方で、政治家としての道を選ぶことに躊躇します。トムは彼に、自分がリバティを撃ったのではなく、実際には彼が助けたのだと告げ、ランスは周囲の期待に応える形で政治家となります。やがて州知事や上院議員、さらには副大統領候補にまで上り詰めるランス。しかし、彼は自らの行動に疑念を抱く日々を送ります。

最終的には、ランスは真実を新聞に告白しようとしますが、西部には英雄的な伝説が必要だということで、その事実は隠されることになりました。この選択が、主人公にとっての宿命的なジレンマを象徴しています。

受賞歴と影響

この作品は、アカデミー賞の衣裳デザイン部門にノミネートされるなど評価されており、また、後に起こるマカロニ・ウェスタンブームに大きな影響を与えました。監督のジョン・フォードの演出や、リー・マーヴィンによるリバティ役は、彼の悪役イメージを払拭するきっかけとなり、彼を一躍有名にしました。

『リバティ・バランスを射った男』は、その独特のストーリーテリングと、深いテーマ性から今でも多くの観客に愛され続けています。その名は、西部劇の枠を超え、映画史に残る名作となっています。

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