リバース (湊かなえの小説)

小説『リバース』の紹介

『リバース』は、著者の湊かなえが描く日本の推理小説で、2013年から2014年まで雑誌『小説現代』に連載され、2015年に単行本として刊行されました。この作品は、第37回吉川英治文学新人賞の候補にもなりました。リバースは湊にとって初めて男性を主人公とした長編小説であり、編集者から出されたテーマに基づいて結末を作成した最初の試みでもあるのです。2017年にはTBSによりテレビドラマ化もされ、多くの視聴者に支持されました。その後、2020年にはコロナ禍の日本をテーマにした短編も発表されました。

あらすじ

物語は平凡なサラリーマンの深瀬和久を中心に進展します。彼は「クローバー・コーヒー」というコーヒー店で越智美穂子と出会い、穏やかな日常を共にするようになります。しかし順調な恋愛も束の間、ある日美穂子の職場に「深瀬は人殺しだ」という告発文が届けられることで、ふたりの関係は危機を迎えます。深瀬は、自身の過去に隠された出来事を語り始めるのです。

今から3年前、大学4年生だった深瀬は、同じゼミの友人たちと旅行を計画します。ところが、行き先である斑丘高原に到着する前に、メンバーの一人が遅刻。そのため深瀬たちは、飲酒している友人に運転をさせるという愚行を犯します。結果、彼は飲酒運転の末に事故に遭い命を落としてしまうのです。深瀬らはその時の状況を警察に説明するものの、飲酒運転の事実を隠してしまいます。

深瀬は過去の罪の意識に悩まされながら日常を送りますが、周囲の友人たちにも同様の告発文が届くことが発覚。さらには他のゼミ仲間がある事件に巻き込まれ、深瀬は告発文の送り主を突き止めるため、真相へと迫ることになります。彼は広沢という友人の死に対する恨みを持つ者を探し出し、過去の恐ろしい出来事の真実を明らかにしようとするのです。

登場人物

• - 深瀬和久: 本作の主人公であり、事務機器メーカーに勤める営業マン。過去の出来事が影響し、自己肯定感が低い。
• - 越智美穂子: 深瀬の恋人で、パン屋に勤務。深瀬との恋愛を支えつつも、過去の告発文に直面し、葛藤を抱える。
• - 広沢由樹: 深瀬の親友で大学時代の仲間。事故で命を落とし、物語の重要なキーパーソン。
• - 浅見康介、谷原康生、村井隆明: 深瀬のゼミ仲間たち。彼らもまた事件に絡む重要なキャラクター。

まとめ

『リバース』は、友情や過去の選択が人々にいかに影響を与えるかを描いた、深く考察を促す作品です。登場人物たちの葛藤や緊張感のあるストーリー展開は、読者を引き込む要素が満載です。ミステリーと人間ドラマのバランスが絶妙に取られており、読み応えがあります。この小説は、ただの推理ではなく、心の闇や友情の複雑さに触れる貴重な機会を与えてくれます。

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