リピッシュ P.13a

リピッシュ P.13a の概要

リピッシュ P.13aは、1944年の後半にアレクサンダー・リピッシュ博士の手によって設計された、ラムジェット駆動のデルタウィング形式の迎撃機です。この機体の設計は進んでいましたが、残念ながら実際に製造されることはありませんでした。そのため、詳細な評価は風洞試験を通じて行われましたが、その結果は素晴らしい安定性を持ち、飛行速度はマッハ2.6に達することが示されています。

設計および開発の背景

当時のドイツでは燃料が絶対的に不足しており、リピッシュはP.13aの駆動方式として石炭を使用する提案を行いました。初期の設計では、機首に取り付けられた特製のバスケットに石炭を積み込み、流入する気流によりガスバーナーで点火してラムジェットエンジンを稼動させる方式を採用していました。風洞試験の結果、石炭の燃焼効率を高めるために、従来のバスケットから小さな粒状の石炭を用いた新たなシステムへと改良されました。

バスケットはメッシュ製ドラムへと変更され、垂直軸を中心に60回転することで、より均一に燃焼させることが可能になりました。ランチャーや牽引装置を使用して機体が約320km/hの速度に達すると、タンク内のガスを噴出し、ドラム内の石炭に点火することができました。これによりラムジェットエンジンによる推進が実現しました。

兵装と試験の経緯

P.13aが搭載可能な兵装についての詳細は不明ですが、MK 103 機関砲は小型機には重すぎることから、1、2挺の大口径機関砲が想定されていたと考えられています。戦争終結時、リピッシュの開発チームは、試作機であるDM-1グライダーの完成を迫られ、その後アメリカに搬送され、試験飛行が行われました。試験結果は非常に好意的で、その後の航空機研究において重要な教訓として位置づけられました。

飛行試験とその後

設計段階で得られた知見は、NASAによる1950年代の航空機開発に貢献しました。1944年5月には、フィエンナ近郊で行われた試験に関する記録フィルムが存在し、P.13aを縮小した機体による滑空試験の様子が捉えられています。

戦後、リピッシュはアメリカの航空機製造会社コンベア社に移り、その経験を活かしながらXF-92の開発と試験に従事しました。最終的には、F-102 デルタダガーおよびF-106 デルタダートといった機体の採用へとつながりました。

主要諸元

• - 乗員: 1名
• - 全長: 6.70 m
• - 全幅: 6.00 m
• - 全高: 3.25 m
• - 主翼面積: 20.0 m²
• - 全備重量: 2,295 kg
• - エンジン: クロナッハ ローリン
• - エンジン型式: 石炭燃焼式ラムジェット
• - エンジン数: 1基
• - 最大速度: 1,650 km/h
• - 航続距離: 1,000 km
• - 翼面荷重: 115 kg/m²

参考文献

• - Hyland, Gary; Anton Gill (1999). Last Talons of the Eagle. Headline.
• - Dabrowski, Hans-Peter (1993). Lippisch P13a & Experimental DM-1. Schiffer.

外部リンク

• - Luft 46 P.13aの記事
• - YouTubeでのP.13a映像
• - P.13aのモデル
• - Nurflugel - 仕様書とスケッチ

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