リミナルスペース

リミナルスペースとは

リミナルスペース（Liminal Space）は、シュールで不気味な雰囲気を漂わせる空間のことを指し、インターネット美学の一部として広がりを見せています。元々は建築用語で、移動のために設計された扉や廊下、階段、ロビーといった人工的な構造物を示すものでした。しかし、時間の経過とともに人々の認知や文化により、その意味が変わり、現在では不気味さを伴う過渡的な空間として知られるようになりました。

リミナルスペースの特徴

リミナルスペースの主な特徴は、通常の状況から外れた「中途半端」な状態を描写することにあります。例えば、普段は賑やかなショッピングセンターが人の気配なく静まり返っている様子や、日常的な廊下や階段が薄暗く感じられる辺りなどは、リミナルスペースの象徴的な例です。このような場所は、訪れる人々に不安感や超現実的な感覚、さらには郷愁や悲しみを引き起こす場合があります。意図的に作り出された風景が持つぞくぞくするような感覚は、同時に心地よさと不安をもつ、両極を兼ね備えた体験をもたらします。

この不気味さの背景には、私たちが普段慣れ親しんでいる環境が、通常とは異なる文脈で提示されることがあります。空間がもたらすはずの安全感や快適さが失われるため、逆に見る者の心に強く訴えかけるのです。

インターネットとリミナルスペース

リミナルスペースの概念は、2019年に4chanで投稿された「The Backrooms」によって広まりました。この投稿がインターネット上で注目を集めると、リミナルスペースに関連する画像やコンテンツがReddit、Twitter、TikTokなどさまざまなプラットフォームに投稿されるようになりました。日本においても、リミナルスペースやThe Backroomsの影響を受けたゲーム「8番出口」が流行し、この現象はさらに加速しました。

このようにリミナルスペースは、特定の形式に依存することなく広範に作られ、受け入れられる文化的なアイコンとなっています。特に、視覚的な言語として表現されることが多いリミナルスペースは、画像や映像を通じてその感覚を表現し、多くの人々に新たな体験を提供しています。

リミナルスペースの心理的要素

この言葉の背後には、空間に触れたときの感情的な反応も重要です。人々が感じる不気味さや寂しさは、過去の記憶や経験と結びつくことが多く、その空間が持つ雰囲気に惹かれる一因となっています。また、リミナルスペースの画像や描写は、さまざまな感情を引き出す可能性があるため、アートやメディアにおいて強い影響を与える素材として注目されています。

このように、リミナルスペースは単なる視覚的な表現に留まらず、人々の感情や記憶の深い部分に触れることができる、非常に興味深いテーマとなっています。

もう一度検索