リュウキュウイチゴ

リュウキュウイチゴ：沖縄の野山に咲く小さな宝石

リュウキュウイチゴ（学名: Rubus grayanus）は、バラ科キイチゴ属に属する落葉低木です。その名の通り、九州南部（種子島、屋久島以南）から沖縄にかけて広く分布しており、別名シマアワイチゴとも呼ばれています。海岸線から沿岸の山地にかけて、林の縁や道端などで生育している様子を良く見かけます。

樹形と特徴

高さは1～2メートルほどに成長します。他のキイチゴ類と比べて特筆すべき点は、その茎の性質です。多くのキイチゴが茎に棘を持つのに対し、リュウキュウイチゴは棘がなく、無毛で滑らかなのが特徴です。

葉は互生し、長さ4～10センチメートルの卵形から卵状楕円形をしています。まれに三裂することもありますが、ほとんどの場合、葉の切れ込みは浅く、深く裂けることはありません。葉の基部は浅いハート型（心形）をしており、縁には浅い鋸歯（ギザギザ）が見られます。葉の質はやや厚く、葉脈や葉柄が赤みを帯びる個体もあります。葉柄の長さは1～3センチメートルで、長さ約4ミリメートルの披針形の托葉を付けます。

花と実

3～4月頃には、直径約3センチメートルの白い花を咲かせます。花は下向きに咲くのが特徴です。萼筒は杯状をしています。そして、5～6月頃には、直径約1.3センチメートルのキイチゴ状果が熟します。熟した実は橙黄色に色づき、甘酸っぱく、食べることができます。野山で出会った際には、ぜひ味わってみてください。

トゲリュウキュウイチゴ

リュウキュウイチゴには、変種であるトゲリュウキュウイチゴ（学名: Rubus grayanus var. cgaetophorus）が存在します。これは、鹿児島県に分布しており、リュウキュウイチゴとは異なり、茎に棘があり、葉が三裂するのが特徴です。

生育環境と分布

リュウキュウイチゴは、温暖な気候を好む植物で、海岸線から山地の低地にかけて生育します。日当たりの良い場所から半日陰の場所まで、幅広い環境に適応しています。土壌は特に選びません。

まとめ

リュウキュウイチゴは、その名の通り、沖縄を含む南西諸島を代表するキイチゴです。棘のない滑らかな茎、特徴的な葉、そして甘酸っぱい実など、多くの魅力を兼ね備えています。野山を散策する際には、ぜひリュウキュウイチゴを探してみてください。その可憐な姿と、熟した実の甘酸っぱさは、忘れられない思い出となるでしょう。また、変種のトゲリュウキュウイチゴについても、その違いに注目しながら観察してみるのも面白いでしょう。

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