リュウキュウヒキノカサ

リュウキュウヒキノカサ

リュウキュウヒキノカサ（琉球蛙の傘、Ranunculus ternatus var. lutchuensis）は、キンポウゲ科に属する多年生の植物です。日本の南西諸島、具体的には喜界島、徳之島、沖永良部島、沖縄島、伊江島そして瀬底島など、湿った原野や林の縁、さらには道端でも見られることがあります。これらの地域に自生するこの植物は、日本固有の変種として認識されています。

この植物の特徴として、通常15～30cmの高さに成長し、ひげ状の根と、太くて短い紡錘形の根を持つ点が挙げられます。地面から出る葉は3出か無分枝で構成され、その長さは1～3cm程度です。葉柄の長さは2～5cmに達し、他の部分とは明確に区別できます。また、花茎は通常1本から5本立ち、先端には直径12～17mmの花がつきます。花びらは5枚あり、倒卵形で長さは6～7mm、色は鮮やかな黄色です。この花には基部に蜜腺が存在し、昆虫を引き寄せる役割を果たしています。果実は広い楕円形をしており、長さは4～7mmです。このような特徴が、琉球の湿った環境に適応した形となっています。

リュウキュウヒキノカサの和名は、その生育環境からカエルの傘に見立てたことに由来しています。多湿な場所に生えることから、この名前がつけられたと考えられています。

この植物にはいくつかの近縁種が存在します。基変種であるヒキノカサ（R. ternatus）は日本の本州から九州にかけて自生しており、中国、台湾、朝鮮にも分布が確認されています。ヒキノカサはリュウキュウヒキノカサよりもやや大きい植物です。また、沖縄島の北部では、八重咲きの品種であるヤエリュウキュウヒキノカサも確認されています。

残念ながら、リュウキュウヒキノカサは絶滅危惧IA類（CR）に指定されています。これは、その生育地が厳しい環境に晒されていることを示すもので、環境省のレッドリストにも記載されています。具体的には、鹿児島県においては絶滅危惧I類、沖縄県では絶滅危惧IB類とされています。

参考文献

• - 沖縄県文化環境部自然保護課編『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（菌類編・植物編）-レッドデータおきなわ-』(2006年)
• - 島袋敬一編著『琉球列島維管束植物集覧』九州大学出版会(1997年)
• - 多和田真淳監修・池原直樹著『沖縄植物野外活用図鑑 第5巻 低地の植物』新星図書出版(1979年)
• - 山下弘『奄美の絶滅危惧植物』株式会社南方新社(2006年)

外部リンク

• - J-IBIS絶滅危惧種情報 - 環境省版RDBでのリュウキュウヒキノカサの解説
• - 化石博士への近道 - リュウキュウヒキノカサの写真が多数

もう一度検索