リュウケツジュ

リュウケツジュ（竜血樹）は、リュウゼツラン科（またはキジカクシ科）ドラセナ属に分類される常緑高木です。英語では「dragon's blood tree」や「dragon tree」と呼ばれます。この名称は、樹液から得られる赤い樹脂が竜の血を連想させることに由来します。

リュウケツジュの語釈

リュウケツジュという言葉が具体的に何を指すかについては、いくつかの解釈が存在します。

最も狭義の用法: マカロネシア地域に自生するDracaena dracoを指す標準和名として使われます。
やや広い用法: 「竜血を採れる木」を指し、主にインド洋のソコトラ島特産のベニイロリュウケツジュ (Dracaena cinnabari) と、上記Dracaena draco の2種を指します。東南アジアにもいくつかの種類が存在します。
最も広い用法: 竜血の産出に関わらず、ドラセナ属の中で高木化する種を総称的に指します。この場合、arborea、americana、ombet、reflexaなど、多数の該当種が含まれます。
その他: 分類学的にドラセナ属とは離れたヤシ科キリンケツ属のキリンケツトウ (Daemonorops draco) にもリュウケツジュの名が使われることがあります。

本記事では、主に狭義のDracaena draco を中心に解説します。近縁種のベニイロリュウケツジュ（Dracaena cinnabari）については該当項目を、その他の種についてはドラセナ属の項目をご参照ください。

Dracaena draco

Dracaena draco は、カーボベルデ、カナリア諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島などのマカロネシア地域や、モロッコの一部に分布しています。種小名のdraco は「竜」を意味し、その赤い樹脂が竜の血を想起させます。テネリフェ島では、リュウケツジュが自然の象徴として制定されています。

Dracaena draco と D. cinnabari

大西洋とインド洋を隔てて分布する両種ですが、竜血を分泌する点や、ドラセナ属の中でも大型化する点など、共通点が多く見られます。どちらも樹高は10～20メートルに達し、幹の一定の高さから無数の枝を広げ、密な樹冠を形成します。全体の樹形は、リュウケツジュ（Dracaena draco）がブロッコリー、ベニイロリュウケツジュ（D. cinnabari）がキノコに似ていると表現されます。枝先には剣状の葉が密生しています。

成長は非常に遅く、年輪がないため正確な樹齢は不明ですが、観察記録などから数百年から千年以上の樹齢を持つ個体もあると考えられています。属名Dracaena はラテン語で「雌竜」を意味し、これも竜血にちなんでいます。

竜血について

リュウケツジュから採取される赤い樹脂は「竜血」と呼ばれ、古くから薬や染料、塗料などとして利用されてきました。この樹脂は、樹皮に傷をつけることで分泌され、空気に触れると酸化して赤色に変化します。特にDracaena cinnabari から採取される竜血は高品質であるとされています。

関連項目

* 竜血

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