キジカクシ科

キジカクシ科（Asparagaceae）は、単子葉植物に属する科であり、かつてはユリ科に分類されていたものが、より詳細な研究により独立した科として認識されるようになりました。本科は、約150属2500種を含む多様なグループであり、その分類は7つの亜科に分けられます。

キジカクシ科の分類

1. Aphyllanthoideae：1属1種のみを含む亜科です。
2. Agavoideae（リュウゼツラン亜科）：23属637種を含み、旧ヘスペロカリス科を含みます。リュウゼツランなど、乾燥に強い植物が多く含まれます。
3. Brodiaeoideae（ブローディア亜科）：12属62種を含み、APG IIではテミス科とされていました。
4. Scilloideae（ツルボ亜科）：約70属1000種を含む大きな亜科で、APG IIではヒアシンス科とされていました。ツルボやヒヤシンスなど、観賞用としても親しまれている植物が多く含まれます。
5. Lomandroideae（ロマンドラ亜科）：約15属180種を含み、APG IIではラクスマニア科とされていました。
6. Asparagoideae（キジカクシ亜科）：2属約300種を含み、従来のキジカクシ科はこのグループのみを指していました。アスパラガスやクサスギカズラ、キジカクシなどが含まれ、主に旧世界に分布しています。地下茎で繁殖する多年草であり、葉が退化して鱗片状になる特徴があります。茎はよく分岐し、つる状に伸びるものもあります。
7. Nolinoideae（スズラン亜科）：約26属500種を含みます。

これらの亜科は、APG II以前には独立した科として扱われていたり、さらに古い分類ではユリ科にまとめられていたりと、分類体系が変遷してきました。現在では、目レベルで分離されています。

キジカクシ科の系統

キジカクシ科の系統は、分子系統解析などによって詳細に研究されており、亜科間の関係性が明らかになっています。以下に、系統樹の一例を示します。

* （系統樹のイメージ）

この系統樹から、各亜科がどのように進化してきたかを推測することができます。

キジカクシ科の特徴

キジカクシ科の植物は、形態や生態において多様性が見られます。多年草が多く、地下茎や球根で繁殖するもの、つる性のものなどがあります。葉の形も様々で、退化して鱗片状になるものや、細長い葉を持つものなどがあります。また、花の色や形も多様で、観賞用として栽培されるものも多くあります。

キジカクシ科の利用

キジカクシ科の植物は、食用、薬用、観賞用など、様々な用途で利用されています。アスパラガスは食用として広く栽培されており、クサスギカズラやキジカクシは薬用として利用されることがあります。また、ヒヤシンスやスズランなど、美しい花を咲かせる植物は、観賞用として庭や鉢植えで栽培されています。

キジカクシ科は、その多様性と進化の歴史において、植物学的に興味深いグループです。今後の研究によって、さらに多くのことが明らかになることが期待されます。

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