リュコメーデース

リュコメーデース

リュコメーデースは、ギリシア神話における重要な人物で、特にトロイア戦争時代における役割が目立ちます。彼はスキューロス島の王であり、神話の中でもアキレウスを匿ったことで知られています。また、晩年のテーセウスを迎え入れた際の事件でも、彼の行動は大きな影響を与えました。

アキレウスを匿う

リュコメーデースがアキレウスの身を隠すことになった背景には、アキレウスの母である女神テティスの強い願望がありました。彼女は、息子がトロイア戦争に参加すれば短命であることを知っており、彼を守るためにリュコメーデースに助けを求めました。リュコメーデースは、9歳のアキレウスを女性の衣服に着せ替え、彼を自らの王宮内に隠しました。この王宮にはリュコメーデースの王女たちがいて、アキレウスは「ピュラー」と名乗る少女として育てられました。さらに、彼はイッサまたはケルキュセラーとも呼ばれていたとされています。

しかし、ギリシア軍がトロイア戦争で劣勢に立たされると、アキレウスの力が必要とされました。オデュッセウスは、彼が女性に扮していることを見抜き、アキレウスの正体を暴くための策を講じました。その結果、アキレウスは王女デーイダメイアとの間に子どもをもうけた後、戦場に戻ることとなりました。彼の子は後にネオプトレモスと呼ばれ、彼自身にとってもトロイア戦争は避けられない運命となったのです。

晩年のテーセウスを迎える

一方で、リュコメーデースはアテーナイの王テーセウスにも関わりました。テーセウスは、冒険を重ねて不在中に彼の王国がメネステウスに奪われるという困難に直面しました。彼はリュコメーデースに庇護を求め、自身の安全を確保しようとしました。最初は彼を受け入れたリュコメーデースでしたが、彼は次第にテーセウスの人気や王座に対する恐れから、テーセウスを害する計画に乗り出しました。

リュコメーデースは、テーセウスを誘導し、崖の頂上から突き落として殺害したと言われています。この事件については、アポロドーロスは崖ではなく、穴に落としたと記録しており、テーセウスが誤って落ちたという別の説もあります。

まとめ

リュコメーデースは、アキレウスを匿い、また晩年のテーセウスとの関わりを通じて、ギリシア神話の中で複雑なキャラクターを形成しています。彼の行動は、英雄たちの運命に大きな影響を与え、多くの物語につながっていくのです。その結果、リュコメーデースの名は、歴史や神話の中に永遠に刻まれることとなりました。

参考文献

• - アポロドーロス『ギリシア神話』
• - 呉茂一『ギリシア神話』
• - 高津春繁編著『ギリシア・ローマ神話辞典』
• - Pierre Grimal The Dictionary of Classical Mythology

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